長崎県立高 段階的再開 安堵と不安 分散登校どう対応

 長崎県立高などで段階的な再開の方針が示された5日、保護者や高校生からは安堵(あんど)の声が聞かれた。
 「受験生なので、授業がなく不安だった。友達にも早く会いたい」。県立長崎西高3年の平野愛歩さん(17)は学校再開を喜んだ。高校生を育てる長崎市の40代女性も「勉強は大切。対策した上で学校には行った方がいい」。
 県内の特別支援学校小学部に息子が通う母親は、最近の様子の変化が気に掛かっている。息子には重度の知的障害と身体障害があり、突然大声を上げることが増えたという。「生活リズムが変わり、かなりのストレスがかかっているはず。再開はありがたいが、感染予防対策を徹底できているのか不安も残る」
 本土地区の県立学校では密集を避けるため、22日まで分散登校や授業の人数を2分の1程度にすることが求められる。県立長崎東中・高(長崎市)の鶴田栄次校長は「空き教室はあるので生徒を分けることは可能だが、教員の数が足りるかどうか」と頭を悩ます。西彼農業高(西海市)は学年別に登校日を定める分散登校を検討。原口三徳校長は「担当教諭が1人しかいない教科もあり、生徒と教員の配置に知恵を絞らないといけない」と語る。
 11日から通常再開する離島地区のうち県立対馬高の田川耕太郎校長は「離島は学習塾などが少なく、休校が続けば教育格差につながりかねなかった」と胸をなで下ろした。

 ただ、現場には不安も渦巻く。長崎市の市立中に務める50代女性教諭は「正直、学校で3密を防ぐのは無理」と言い切る。「早く子どもたちに会いたいが、どうしても集団になってしまう授業があり、教科によっては対策そのものが難しい。はっきりとした未来が見えないスタート」とこぼした。


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