昨年、鎮守府開庁130周年 若者世代どう取り込むか PR強化もコロナ影響懸念

佐世保鎮守府開庁130周年で来場者が好調だった凱旋記念館=佐世保市平瀬町

 日本遺産の旧海軍佐世保鎮守府が開庁130周年を迎えた昨年、長崎県佐世保市は観光客誘致のための一大セールスを展開。訪問客数は増加したが、若者世代をどう取り込むかなど課題も見えた。市は貴重な観光資源として売り込みを強化する考えだが、新型コロナウイルスの影響で先行きは不透明感も漂っている。

 佐世保鎮守府は1889年7月1日に開庁。佐世保市内には凱旋(がいせん)記念館(平瀬町)や針尾無線塔(針尾中町)などの遺産が数多く残っている。2016年、横須賀、呉、舞鶴の各鎮守府とともに日本遺産に認定された。
 市や佐世保観光コンベンション協会は認定を追い風にPRを強化。特に開庁130周年だった昨年は、記念バスツアーやパネル展、コラボ商品の発売など数々の企画を打ち出した。市内の構成資産を回ってスタンプを集める「護守印めぐり」は2万部用意した「護守印帳」がほぼはけた。
 イベント効果で、針尾無線塔の見学者や凱旋記念館の来場者は昨年7月から12月まで前年を上回るペースで推移。ただ、訪れた人は高齢者が中心。若者やファミリー層を呼び込む仕掛けができれば、さらなる上積みが見込める、と市の担当者は戦略を練る。
 広島県呉市には巨大戦艦「大和」などを紹介する「大和ミュージアム」、神奈川県横須賀市には「猿島砲台跡」など核となる集客施設がある。佐世保市では針尾無線塔が22年に、凱旋記念館が23年にそれぞれ完成100年を迎える。佐世保の目玉施設として集客力アップが課題となる。
 しかし、現在、新型コロナ感染拡大の嵐が吹き荒れ、国内の観光施設は軒並み機能停止状態に追い込まれている。佐世保市は今年、宝探し形式で市内の遺産を巡るイベントを計画しているが、今の段階で実施できるかは不明。
 市観光課は「(旧海軍佐世保鎮守府の)130周年が終わっても、重要な観光資源であることに変わりはない。新型コロナの終息を見越しながら、今後もさらにPRを強化し、観光客を呼び込めるよう努力する」としている。

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