4月26日の23時58分。
中学生と高校生の3人の子育てをしながらシングルマザーの立場で立候補した小郷ひな子さんが、倉敷市議会議員補欠選挙でトップ当選を果たしました。
2位の当選者に2400票の大差をつけた、完全勝利でした。
新型コロナウイルスによる非常事態宣言から間を置かずに開催された、倉敷市議会議員補欠選挙。
集会も握手もできない、街頭演説に人が集まらない。
「どうやって選挙運動をすればよいのか?」
他の立候補者は判断できていない状態でした。
しかし…、組織もお金もない・強力な後ろ盾もない小郷さんは、元よりインターネット重視の選挙運動を意図していました。
新型コロナウイルスで活動が制限される中、当選するためにはネットを重視しなければならないと判断していたのです。
ほかの立候補者は、選挙直前になるまでSNSの更新頻度は低く動画もほとんどアップされていませんでした。
いっぽうで新型コロナウイルスによる外出自粛要請のため、有権者はネットで選挙情報を集めざるを得ません。
しかも、新型コロナウイルスの脅威の中それでも選挙情報を得ようとする有権者は極めて投票意欲が高い人です。
そこで小郷さんの要望を現実するために戦術を考えました。
その戦術とは…YouTubeと選挙専用ツール「ボネクタ」をかけ合わせて他の立候補者よりも圧倒的に露出し有権者との接触頻度を上げる方法でした。
今回のレポートでは、従来の選挙運動が制限される中倉敷市議会議員補欠選挙でYouTubeと選挙ツール「ボネクタ」をどのように活用してトップ当選を果たしたのか?
詳しく解説していきます。
ネットでも「ドブ板選挙」をするべき
倉敷市議会議員補欠選挙のネット活用に関する詳細なレポートの前に、お伝えしておくべきことがあります。
「選挙でインターネットの活用法がわからない」
仕事柄よく質問をいただきます。
しかし、選挙においてリアルもネットもやるべきことは同じです。
1.演説や辻立ちで立候補者の露出を増やし有権者に顔と名前を知ってもらう
2.演説や握手でスキンシップをして感情を動かす
上記2つをネット上で再現するだけです。
しかしほとんどの立候補者や政治関係者は、以下のようにまったく違うことをやりたがります。
・1個動画を作っただけ、更新しない
・映画の予告のようなイメージ動画を作る
思い当たる部分があるのではないでしょうか?
屋外で何度も街頭演説をするのは、有権者との接触頻度を上げるためです。
しかし街頭演説は何度もするのに、アップする動画は1つだけ。
矛盾していませんか?
街頭演説と同じようにネットでも繰り返し発信しないと、有権者に見つけてもらえません。
リアルな選挙で握手などスキンシップをするのは、感情を動かすためです。
では、編集だけ手の込んだ動画で有権者の心は動くのでしょうか?
いざ選挙戦に入ると、立候補者のモチベーションはあがり演説に熱が入ります。
有権者の心を動かすのは、「必死に演説し訴えかける情熱」や「未熟でも一生懸命語りかける立候補者の姿」です。
しかし立候補者のホームページには、取ってつけたようなイメージ動画がアップされているだけ。
選挙戦本番の熱のこもった演説を、立候補者のホームページでは見られない。
これでは有権者の感情が動きません。
ドブ板選挙が何十年も続いているのは、それだけ有効だからです。
インターネットでも同じことをすればよいのですが、多くの人はまったく違うことをやりたがります。
ネット選挙における真の問題は、長年選挙で培われた経験やノウハウをネット上で再現できない・しようとしない姿勢なのです。
インターネットでもリアルと同様に、有権者との接触頻度を上げて感情を動かしていけばよいのです。
倉敷市議会議員補欠選挙の具体的なYouTube活用法
ではここからは、小郷ひな子さんの具体的なネット選挙運動について解説をしていきます。
基幹戦術をまとめると、
・YouTubeと選挙ツール「ボネクタ」を併用し小郷さんを露出、最大限有権者との接触頻度を高める
・スタンドアロンの語りかける動画や街頭演説の動画をアップし有権者の感情を動かす
上記のようになります。
ちなみに今回永野は選挙の前後、倉敷市に一切入っていません。
愛媛県松山市からインターネットを通じてサポートしました。
他の立候補者の発信や、小郷さん自身のYouTube・ホームページのアクセス状況を分析しながらチャットで指示を出していました。
動画の撮影はすべて倉敷の選挙スタッフが行っています。
自分にとって初の完全リモートサポートによる選挙戦でした。
倉敷市の有権者の状況を調べる
選挙前に倉敷市のローカル掲示板やツイッターを確認し、有権者がどれくらい立候補者を認識しているかを調査しました。
すると誰もが、立候補者の名前すらわからない状態でした。
今回有権者は、新型コロナウイルスの影響でほとんど外を出歩いていません。
ですから、ポスターを見る有権者の数は極端に減ったはずです。
しかも選挙公報は新聞を取っている人だけしか見られません。
倉敷市のHPより抜粋
”配付について
候補者の氏名・経歴・政見などを掲載した選挙公報を新聞折込(4月22日または23日の山陽・朝日・読売・毎日・産経・日経・中国の朝刊)の方法で配付します。
上記の新聞を購読されていないなど、郵送を希望される場合は、選挙管理委員会へご連絡ください。”
選挙のために選挙公報を取り寄せる有権者は、ほとんどいなかったでしょう。
このような状況だと有権者はスマートフォンで情報収集するしかないのです。
では有権者はスマートフォンでどのように情報収集するのでしょうか?
答えは「選挙名で検索する」です。
つまり、スマートフォンに「倉敷市議会議員補欠選挙」「倉敷市議会議員補欠選挙立候補者」などの言葉を入力して誰が立候補しているか調べます。
有権者が選挙名で検索する傾向は、わたしが以前手掛けた2018年の松山市議会議員選挙・2019年の愛媛県議会議員選挙で調査済みです。
今回で3度目の地方選挙実戦となりましたが、倉敷市議会議員補欠選挙も過去2回の選挙とまったく同じ傾向だったのです。
「有権者は選挙のときに選挙名で検索する」
何十人も立候補する地方選挙では、有権者は必ず選挙名で検索します。
100%確実にです。
実際にYahooの「サジェストキーワード」を表示した様子。サジェストキーワードとは、利用者が検索しているであろう言葉をAIが予測して自動的に表示する機能。画像から「倉敷市議会議員補欠選挙」に関係するさまざまな言葉で検索されていることがわかる。
実際にYahooの「虫眼鏡キーワード」を表示した様子。虫眼鏡キーワードとは「倉敷市議会議員補欠選挙」で検索する利用者がさらに詳しい情報を得るためにどんな言葉で検索しているかを提案する機能。倉敷市議会議員補欠選挙の後ろに「立候補者」「候補者」などを付けて検索している。有権者は立候補者の名前がわからないため、選挙名に「立候補」などの言葉を追加して調べているのがわかる。
146個の動画をYouTubeにアップしてネット上の「面」を取る
有権者と接触頻度を上げるために動画の数が必要。
先ほどお話しました。
そのため、とにかく動画の数を用意しました。
・朝のあいさつと当日の予定
・街頭演説
・昼間に所々スポットでスマホに向けて語りかける動画
・夜に1日の活動報告や有権者に伝えたいこと、そして明日の予定
動画の撮影スケジュールを上記のように定め、随行スタッフにお願いしました。
そして選挙運動開始から徐々に動画を増やしていき、最終的には1日14回の街頭演説すべてを動画にしてYouTubeで公開したのです。
選挙戦最終日の4月25日には、なんと1日で24個の動画を公開しました。
小郷さんは約1ヶ月で146個もの動画をYouTubeにアップしたのです。
これだけ多くの動画をアップすると、「倉敷市議会議員補欠選挙」でスマホ検索した有権者に見つけてもらいやすくなります。
実際に選挙期間中は「倉敷市議会議員補欠選挙」の検索結果に小郷さんのYouTube動画が数多く表示されていました。
そして、誰が立候補しているかわからない有権者のスマホに小郷さんの顔と名前が常に表示されるようになります。
有権者がスマホを通じて最初に接触した立候補者である小郷さんが、投票先として強く意識されるのはいうまでもありません。
小郷陣営は動画の数で、選挙戦の「面」を制圧したのです。
選挙における検索の特殊事情
ここで少し「検索」について補足します。
YahooやGoogleの検索結果は、日々変わります。
それは選挙でも同様です。
選挙の告示前後で、検索結果は大きく変わります。
選挙の告示後、有権者はできる限り新しい情報を探し始めるからです。
投票先として選ぶのですから、立候補者の近況を知りたいのは当然でしょう。
そのような有権者の動向や心理を理解しているYahooやGoogleは選挙の開催期間が短いこともあり、選挙中は常に新しい情報を優先して検索結果に出そうとします。
上記のような動きを永野は経験から事前に察知していたので、現場にお願いをしていました。
「街頭演説の動画をできるだけ早く永野にわたしてほしい」と。
現場スタッフは約束通り、小郷さんが街頭演説を終えた数十分後には動画を永野に送ってくれました。
そして動画を受け取り最適な形に加工し、YouTubeにアップしたのです。
ついさっき1時間前に倉敷駅前で演説している様子が即YouTubeに公開されている。
そんな状態を維持しました。
結果、選挙の新しい情報を求めている有権者のスマホに、YahooやGoogleは優先して小郷さんの新しい動画を露出していくようになります。
ただし…やみくもにYouTubeに動画をアップしても、動画の効果を最大限発揮させられません。
そこで選挙ツール「ボネクタ」で、動画の威力を何倍にもブーストすることにしました。
選挙戦の要・選挙専用ツール「ボネクタ」を活用
YouTube以外のツールとして、選挙ドットコムが提供している「ボネクタ」を活用しました。
ボネクタを簡単に説明すると、「選挙でめっぽう目立つブログ」です。
ですから、立候補者がボネクタに写真と文章を使って更新するだけで非常に目立てます。
しかしシングルマザーでお金も組織もない小郷さんはとても厳しい状況で、ボネクタを普通に使っても勝ち目がうすかったのです。
そこでYouTubeとボネクタをかけ合わせ、最大火力で小郷さんが露出するように対策しました。
ボネクタはYahooやGoogleから「信頼できる選挙のニュースサイト」と認識されています。
そのためボネクタに倉敷市議会議員補欠選挙に関する新しい情報が投稿されると、優先して検索結果に表示されます。
ボネクタはブログの一種ですから、記事内にYouTubeを埋め込んで投稿できます。
小郷陣営はYouTubeに最新動画をアップするだけではなく、ボネクタにもYouTube動画を埋め込みどんどん投稿していきました。
ここで…さきほどのYouTubeのお話を思い出してください。
YouTubeには「小郷さんが1時間前に倉敷駅前で演説している様子」がアップされています。
そして、倉敷市議会議員補欠選挙においてもっとも新鮮で速報性のある動画が、信頼できる選挙のニュースサイト「ボネクタ」に埋め込み投稿されている。
YahooやGoogleは、小郷さんのボネクタを倉敷市議会議員補欠選挙において最重要かつ最新の情報であると判断せざるをえません。
事実ですから。
YouTubeとボネクタをかけ合わせることで、選挙で重要な「最新の情報であること」と「信頼できるソースのニュースであること」の両方を一気に満たせました。
ではボネクタが実際にどのように表示されて露出を増やしていたか?
画像で解説します。
ボネクタはGoogleのトップニュースに表示される
Googleを使って「倉敷市議会議員補欠選挙」と検索すると、選挙中は上の画像のように「トップニュース」枠が表示されます。
小郷さんのボネクタはトップニュース枠を埋め尽くし、倉敷市議会議員補欠選挙で検索した有権者の数多くと「ファーストコンタクト」できました。
他の立候補者の情報に触れる前に小郷さんの情報に触れた有権者は、小郷さんを投票先として強く意識したはずです。
ボネクタはYahoo! の動画特殊表示枠に表示される
Yahooの検索にはGoogleのようなトップニュースはありませんが、代わりに動画を優先して検索結果に表示する特殊枠を設けています。
ボネクタとYouTubeを併用することで、動画特殊表示枠に立候補者のボネクタを優先して表示できます。
ボネクタはYahoo! の画像特殊表示枠に表示される
Yahooの検索には動画特殊表示枠以外に「画像特殊表示枠」も設けています。
YouTubeとボネクタを併用すると、YouTubeの「サムネイル画像」が画像特殊表示枠に表示されやすくなります。
小郷さんの顔と名前がスマートフォンの画面内に大きく表示されて、露出が増えています。
小郷さんの情報を最大限露出に成功
ここまで解説した一連の作業の結果…
選挙期間中における「倉敷市議会議員補欠選挙」の検索結果をおおむね以下のように維持できました。
検索結果の一番目には常にボネクタが表示されていました。
特殊動画表示枠には常に小郷さんの情報が表示されていました。
その下には、小郷さんのYouTubeとTwitterがならびます。
検索結果の最下部には、画像特殊表示枠に小郷さんが表示されていました。
このように、「倉敷市議会議員補欠選挙」の検索結果には小郷さんのボネクタやYouTube・Twitterが所狭しと並びました。
有権者との接触頻度を上げるミッションは、このようにして成就したのです。
結果、大差でのトップ当選にいたったのです。
※Googleの場合は動画・画像特殊表示枠が表示されないかわりに、検索結果の一番目に「トップニュース」が表示されていました。
解説してきたネット選挙対策を実践するためには…
ここまで倉敷市議会議員補欠選挙でトップ当選するために、インターネットをどのように活用したかについて解説してみました。
ただし、やみくもにYouTubeやボネクタを更新しても同じ結果は出せません。
非常に再現性の高いネット選挙のやり方なのですが、正しく実行しなければ同じ結果を出せないのです。
そこで今回セミナーを企画しました。
「地上戦ができない中ネットをフル活用でトップ当選した事例に学ぶ」
5月18日(月)20時~ zoomウェビナー緊急事態宣言で集会も握手もできない・演説に人が来ない中、ネット選挙をフル活用し2位に大差でトップ当選した新人候補者を、遠隔地からテレワークでサポート!アフィリエイターとしてもネット選挙参謀としても数々の成果を出した永野護さんが、緊急事態宣言後に行われた最新の選挙で得た知見を惜しみなく披露してくれる貴重な機会です。選挙が近い方は必見のセミナーです。
皆様のご参加、お待ちしております。