リアルサカつく「沖縄SV」!元Jリーガー岡根直哉が地域リーグで感じていること

4月19日に32歳となった岡根直哉は、沖縄SVでの3シーズン目を迎えている。

身長190cmのセンターバックは沖縄へ来る以前、清水エスパルス、モンテディオ山形、栃木SC、FC岐阜、SC相模原でプレーした経験を持つ、元Jリーガーだ。

そんな彼が、JFLの一つ下、九州リーグの沖縄SVでどのようなことを考えてプレーしているのか。

Qoly×サカつくによる「リアルサカつく」紹介企画第4弾は、沖縄県全域をホームタウンとして活動する沖縄SVを特集。

今回は主力選手の一人である岡根に、沖縄SVへ加入した理由やチーム内で考えていること、同期入団した前田俊介の気になる“実像”などを『サカつく』プロデューサー宮崎伸周氏とともに聞いた。

(取材日:2020年2月27日)

「信頼」が決め手だった沖縄行き

――2018年に沖縄SVへ加入して2年が経ちました。沖縄の良さはどんなところでしょう?

まずは温暖な気候です。冬でも筋肉が自然と温まります。ただ逆に、向こうへ遠征する時に持っていく服とかが分からなくなりますね(笑)。

あと沖縄は花粉がありません。花粉の薬を飲んだりする必要もないので楽です。

――今シーズンも沖縄SVでプレーすることに決めた理由はズバリ何ですか?

僕は沖縄へ来る前、「このチームで引退する」と決めて来ました。どこへ行く気もないですし、どこかでプレーしたいというのもありません。

やらせてもらえるなら、後はどこまででも。僕がこのチームでいつまでやれるかだけです。

――高原さんの存在がやはり大きいです?

そうですね。来る時にそういう話をしました。

ここに来る前はSC相模原でプレーしていて、タカ(高原)さんから話をもらったんです。その時はできれば上(のディビジョン)でプレーしたいと思っていたので、「J2からオファーがなかったらお世話になります」と返事をしました。

沖縄へ行くからにはそのチームで上がることしか頭にありませんでしたね。タカさんが沖縄SVを作った時から声をかけてもらっていましたし、行くからには最後というか自分の中でケジメをつけていこうと思っていました。

沖縄には縁もゆかりもなかったんですが、タカさんがずっと「行こう行こう」「まだか」と言ってくれて。

僕がまだSC相模原にいる時に沖縄SVが10月の全国社会人選手権大会で完敗して、直後に電話がかかってきたんです。「やっぱりセンターバックがいないとダメだ」と。その時は「いやタカさん、まだ早いですよ(苦笑)」と答えたんですけど。

ただ、選手としてそれだけ誘われている時点で、感じる部分はやはりありました。僕はチームを結構転々としてきたので、信頼されて、自分が必要とされるチームでプレーできることがどれだけ幸せか知っています。この世界、チームにいたくてもいられないことが多いじゃないですか。

信頼してくれている人のもとでプレーできることはあまりない環境だな、と。いろいろ考えているうちに考えが変わってきて、成長途上のチームに入るのも面白そうだと思ったので、12月くらいには決めました。

――高原さんは昨年まで、オーナー、監督、選手の“一人三役”でした。距離感の難しさとかはありましたか?

僕は選手として一緒に清水エスパルスでプレーしていたので特に難しくはなかったです。ただ、若い選手たちからしたら「タカハラ」という名前もありますし、監督ですし、社長でもあります(笑)。接しにくさはあるのかなと。

でも、監督という部分だけを見たら、僕であればもっとタカさんに寄せていくじゃないですけど、タカさんがプレーしやすいようにして自分をアピールしていきますね。「どうやったらタカさんがやりやすいかな」と考えて。ある意味やりやすいとも思うんです。

ただそういう選手はあまりいないので、「もっとガツガツアピールすればいいのに」と個人的には感じています。

――山本浩正監督にも少しお話を伺ったんですが、高原さんと一緒にプレーする“価値”をもっと多くの選手に感じてほしいと仰ってました。

たまに若いFWとかが一緒にシュート練習をやっているんですけど、前田俊介とかと一緒に「それ、お金を払ったら10万円以上の価値のある練習だぞ」と言ったりしています。タカさんと付きっきりでシュート練習なんて、ストライカーならそれ以上のことはないんじゃないかって。

だから、もっとシュート練習を一緒にやったり、やらないまでも「ちょっと見てください」と言ったりすればいいのにと思います。絶対にそんなことで嫌と言う人ではないと思うので。

――岡根選手も結構ゴールを決めていますよね。だいたいヘディング?

そうですね。昨年も大事な試合でセットプレーから決めていることが多く、チームの武器になっていると思います。

九州リーグでは力の差があるのでセットプレーがなくても勝てますが、地域チャンピオンズリーグのような大会だとセットプレーが非常に重要な意味を持ちますし。

――名前の出た前田俊介選手も今年で3年目ですよね。前田選手との付き合いってどんな感じですか?

マエシュン(前田俊介)が来た時は本当に嫌でした(笑)。

少し前までチームの寮があったんです。僕は家が決まるまで1か月くらい一人で住まわせてもらっていたんですが、突然タカさんから「明日からマエシュンも住むから」と言われて。

「俺、明日からマエシュンと一緒に住むの?」と、最初めっちゃ嫌でした(笑)。面識はなかったんですけど、絶対にクセの塊やん、と。でもすぐに打ち解けました(笑)。

――前田選手とも今回少しお話したんですが、沖縄へ来た頃と比べるとだいぶ変わった印象でした。2年前にお話を伺った時はイメージ通りというか、自分の世界があって、何を聞いても一言二言しか返ってこない感じだったんですが(笑)。

もともと、ただの人見知りですから(笑)。

でもメディアでは結構そういうイメージになっているので、そのキャラクターを大事にしているようです(笑)。「あまり写真を載せるな」とか、「出ないのがいいから」と(笑)。面白いですよ。

沖縄SVで、いま感じていること

――沖縄での生活はどうですか?

とても気に入っています。以前から住んでみたいというのがありましたし、沖縄に来て結婚したんですけど家族も気に入ってくれています。僕より気に入って、「一生住みたい」と言っています(笑)。

――沖縄SVでプレーする魅力はどこでしょう?

まずは環境ですね。チームの若い選手たちは分からないかもしれませんが、シーズンに入ればほとんど良好な天然芝でプレーすることができる。これはJ3のクラブでもなかなかありません。

そういうことを分かっている選手がどれだけいるか。沖縄SVの場合は移動も飛行機ですし、前泊もします。一人部屋で、ご飯代も出してくれるので本当にありがたいです。

ただ、沖縄SVにいきなり入ってここしか知らないような若手選手はこれが当たり前だと感じてしまう面もあります。それをタカさんがわざわざ言うことがないよう、前田俊介、髙柳一誠、西澤代志也らと「僕らが伝える役目だ」と話しています。

――プロ・アマ、様々な選手がいることの難しさはありますか?

そこが一番難しいんじゃないですかね。他の地域リーグのチームは待遇がもっとフラットだと思うので、一つの目標に向かいやすい面があります。

プレーの面で言えば今日の練習でもそうでしたけど、標準でできなければいけないことをタカさんがずっと言っていて、でもそれがなかなかできない。上に合わせすぎても難しいですし、かと言って下に合わせすぎても難しいです。

そこの差を僕でも感じているので、特にタカさんはすごいと思いますね。何回も何回も教えてあげるというか。

とはいえプロと違って置いていくわけにはいかないですし…難しいですね。

――そうしたなか、昨年は地域チャンピオンズリーグに出場しました。元Jリーガー目線であの大会の印象はどうでした?

厳しいですよね。

2勝1敗。福井ユナイテッドFCに大敗(1-6)しましたけど、2勝しても1次ラウンドで敗退してしまうのは…本当に一つも落とせないんだなと。

九州リーグだとプレッシャーがかかった試合がどうしても少ないので、いざ地域CLで「負けたら終わり」の試合を迎えた時、力を発揮できる選手が多くはありませんでした。

あと他のチームを見ると、体つきの良い選手が多かったです。やはりフィジカル的な要素が強い大会なんだと思いました。

実際に、ボールを蹴り込んで、前線には走力のあるフィジカルに恵まれた選手を置いているチームが多かったです。

――3日連続の試合ですものね。

僕はDFなので3日連続でも意外にやれるなという感じもありました。短期決戦で、アドレナリンもずっと出ていますし(笑)、身体的には大丈夫でした。

7月の天皇杯2回戦で敗れたサンフレッチェ広島戦のほうがきつかったですね。1試合だけでしたけど強度が全然違って、終わったあと体中が痛いし、ものすごく疲れました。ただ、めちゃくちゃ楽しかったです。久しぶりに。

地域CLに話を戻すと、どのチームもやっぱり必死なんです。みんな人生がかかっていますから。

僕らも当然そうですが、もしかしたら他のチームのほうがそういう気持ちが強かったのかもしれません。

特に僕らが負けた福井ユナイテッドは、チーム存続の危機を経て出場した大会でした。彼らのほうがハングリーさがあったように思いますし、僕らに足りなかったものでもあると感じます。

やはり環境の部分もありますけど、貪欲さを特に若い選手たちからはそれほど強く感じません。

ベテランはこのチームであと何年続けるか、あるいはもうサッカーを辞めるかだと思うんです。でも若い選手に関して言えば、たとえば昨年JFLに上がっていれば、まだまだチャンスがあるじゃないですか。

「上から落ちてきた俺らより、ここから上がっていくお前らのほうがこれに賭けないといかんのやぞ」と伝えてはいるんですけどね。

もちろんチーム全員が頑張るのですが、特に若手は沖縄SVの環境に満足するのではなく、ここを踏み台にするくらいの気持ちでガムシャラにプレーしてほしいです。

宮崎P――昨日、取材で「沖縄そば まるやす」へうかがいました。選手の憩いの場になっているとか。サポーターの方も来るとうかがったので、直接交流できる貴重な場だなと思いました。クラブの基点みたいな場所でありながら交流ができるなんてあまり聞いたことがないですし。

かなりの頻度で行きます。美味しいですし、寮がすぐ近くにあるので僕も寮にいた時はほぼ毎日行っていました。事務所も近いのでスクールコーチをやっている選手なんかはあそこで休んでから行くことも多いです。

――今年は沖縄SVで3年目のシーズンです。

3年間一緒のクラブでやるのは初めてなので、めちゃめちゃ嬉しい気分です。引越しをしなくて済むので楽ですし(笑)。

2年前に沖縄SVへ入団した時、タカさんが会見で「何年も呼んでいて、やっと来てくれた」と紹介してくれました。それだけでも来た甲斐がありましたし、毎年のようにチームを替わってきたので、信頼できる人のもとでプレーし続けられることが本当に幸せです。

――最後に、今シーズンの目標を聞かせてください。

九州リーグ優勝は簡単ではないですけど当然と考えています。

JFL昇格のかかった大事な試合などで、自分がどれだけのパフォーマンスを発揮できるか。「あいつ頼りになるな」というプレーを見せることが目標です。そこに今年はこだわっています。

岡根 直哉

1988年4月19日生まれ(32歳)
沖縄SV所属

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プレイヤーは自分だけのオリジナルクラブの全権監督となり、クラブを育て、選手をスカウト。そして、育てた選手とともに世界の頂点を目指します。

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