「スポンサー」はあらゆるスポーツにとって欠かせない存在だ。
サッカーも例外ではない。試合でクローズアップされるのはチームだが、スポンサーもファンと共に重要な役割を担っている。チームを通じ、ファンとスポンサーは繋がっていると言えるだろう。
だがファンとスポンサーとの直接な繋がりは強いとは言えない。そこでファントークンは、ファンとスポンサーとの繋がりを強固にする鍵となることを考えている。
ファントークンとスポンサー
スポンサーがチームに対してお金を出すのは、知名度向上やイメージアップ、信頼の担保などが目的だ。チームを通じてファンに企業名や企業の提供している商品およびサービスの周知を計っている。
ただし一方的に周知を行っているだけでは、売上には繋がるとは限らない。企業の展開している小売店やサイトにファンが訪問してくれるだけの導線が不足しているためだ。
ファントークンの目的は、この導線となることである。
スポンサー企業の売上UPは、スポンサー企業だけの喜びではない。スポーツに投資することで十分なリターンが期待できるという実績と関係者への説得材料となる。
そしてチームへのスポンサード料金の継続や上乗せにも繋がり、チーム強化に結び付くためだ。このようなお金の循環もまた、チーム・ファン・スポンサー三方すべてに対して特別な体験と言えるだろう。
これまで3回のコラムで投票にファントークンが使われる事例を紹介した。第4回ではスポンサー企業とファンを繋げる仕組みについて紹介する。
スポンサー企業での買い物でファントークンがおまけに
現在のファンとスポンサーの関係の問題点は、スポンサーとチームの関係が見えにくいところにある。
「スポンサー企業の優先度を上げればチームへの貢献に繋がる」
頭の中ではそう理解しているファンは多いだろう。だが本当に貢献したことになるのかという不安も同時に持ち合わせている。感情の理解が追い付かないのだ。
このような問題点を解決する方法のひとつが、スポンサーとチームの関係の「見える化」だ。
例えばDAZNでは、売上の一部がクラブの強化費となる年間視聴パスを販売している。スポンサー企業を優遇することでチーム貢献に繋がる好例だろう。
元々年間視聴パスは、11ヶ月分の料金で12ヶ月視聴できるという特典もある。1シーズン視聴することを考えているファンにとって嬉しいサービスだ。
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1ヶ月分無料とお得感チームに貢献したいという二重のファン心理が年間視聴パス購入の後押しとなっている。
ファントークンによるスポンサーとチームの関係の「見える化」も、DAZNの年間視聴パスの構造に近い。スポンサー企業で買い物をすることにより、おまけとしてファントークンが付与されるのだ。
動画に映されているスマホの画像は、トリノのアディダスで行われたテストのものだ。90ユーロの買い物に対して2枚の$JUVトークンが付与されている。
ファンにとってスポンサーとチームの関係の「見える化」の利点は大きく2つある。1つ目がファンの心の中に燻る不安や不満の解消だ。頭の中だけの理解に留まっているチームへの貢献の道筋を明確になることで、ファンの心にも刺さりやすくなるはずだ。
もうひとつの利点が、他人にも勧めやすいということだ。チームを応援していてもスポンサーとの関係には無頓着という人もいるだろう。
だがチームとスポンサーの関係が「見える化」できていれば、このような人を説得する材料にもなるはずだ。SNSを通じて不特定多数の人に広めることも可能になるだろう。
ファントークンの投票結果が人気ゲームにも影響?
バルセロナのスポンサーでもあるコナミは、20年以上前からウイイレシリーズの開発を行っている。
元々ウイイレは試合や選手に焦点を当てたゲームだった。だが近年は試合を取り巻く空気感の演出にも力を注いでおり、実際に使われているチャントやゴールパフォーマンスまで取り入れ始めている。
このコラムの第1回、第2回で紹介したユヴェントスは、ファントークンの投票により既にBlurのSong2がゴールチャントとして使用されているが、これがウイイレの最新作に導入する方向で進められている。
ファントークンの影響はゲームにも及んでいるのである。
BlurのSong2
長友佑都が所属するトルコの名門ガラタサライもファントークンによる投票でアンセムを変更しているが、こちらも取り入れられる日も近いかもしれない。
また昨年公開されたファントークンのCMは、ルガーニのゴールパフォ―マンスを投票で決めるというものだった。 このCMのままの投票が実現し、ウイイレのルガーニが投票結果通りのゴールパフォーマンスを披露してくれることを期待したいものだ。