甲斐ひと巡り

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■地域と関わりながら、共に考える依存症
甲斐サポートセンター 池田文隆(いけだふみたか)

Profile:ギャンブル依存症回復支援施設「グレイス・ロード甲斐サポートセンター」統括センター長。平成27年2月に開設した施設には、全国から入所希望が相次ぎ、これまでに160人が入所。自身も、ギャンブル依存症で、同施設に入所した経験を持つ。

「ギャンブルを一時的に我慢させる施設ではなく、止め続ける生き方を習得する施設を目指しています。利用者は、なぜ自身の生活を破綻させるほどギャンブルに依存してしまったのか。過去を振り返り、考え、認めてもらうことが重要です。こちらから答えは提示しません。社会復帰後に、自分で考え生きていけるように。そして、同じ過ちを繰り返さないように」と利用者に対する考えを語る池田文隆さん。
グレイス・ロードは、全国から多くのギャンブル依存症者を受け入れており、利用者は、同施設で回復プログラムに取り組んでいます。
池田さんは、「依存症者は自分が一歩踏み外してしまっているという感覚が乏しい。『自分はまだ大丈夫。自分は他者とは違う。ギャンブル依存症ではない』と思い込み、依存していることから目を背けてしまっている」と言います。
現在、統括センター長を務める池田さんですが、実は自身もギャンブル依存症で同施設に入所した当事者の一人です。
池田さんが施設に入所したのは、施設が開設したばかりの平成27年4月。当時、国内では依存症の回復施設に対する反対運動が行われる地域もありましたが、グレイス・ロードは、少しずつ地域とのつながり、信頼関係を築き上げていきました。地域と共生するこの取り組みは「山梨モデル」と注目され、今では、地域のみなさんから「若い人たちに力を貸してほしい」「祭りを一緒に盛り上げてほしい」と依頼されるほど地域と深く関わっています。地域との関わりは、利用者にとっても自己肯定感や社会性を取り戻す契機となり、回復の一助となっています。
池田さんは自身の過去を振り返り「職員と利用者という立場の違いはあっても、同じギャンブル依存症の当事者。一方的に利用者に回復プログラムを提供するのではなく、共に寄り添って考えていきたい。これからも、社会や地域と関わりながら、ギャンブル依存症を正しく理解していただき、一人でも多くの依存症に悩む当事者や家族の力になりたいです」と語ってくれました。