社説[困窮する学生]公的責任で学び支えよ

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 「このままでは進学や在学が危ぶまれ、世代ごと未来を奪われる」

 新型コロナウイルスの影響で困窮する大学生が増える中、文部科学省を訪ねた学生団体の代表は、そう訴え、国の予算で学費を半額にするよう求める署名を提出した。「未来を奪われる」との言葉が胸を衝(つ)く。

 今、親の失業やアルバイト先の休業で学費が払えなくなり、学業継続への不安を訴える声があちこちから上がっている。

 学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」の調査によると、親の収入減などで退学を考えていると回答した学生は5人に1人に上る。約半数が自身のアルバイト収入が「減った」または「なくなった」と回答。とりわけ実家を離れて1人暮らしをする学生は家賃や光熱費負担が重く、打撃は深刻だ。

 大学生の収入を支える3本柱は親からの仕送りとバイト代、奨学金。春休み中のバイトで前期の学費を捻出しようとしていた学生も多く、仕送りとバイト代が細る中、奨学金を借り続けることへの不安もつきまとう。

 生活が立ちゆかなくなった大学生らによる学費減額運動は全国に拡大している。 

 給付金や授業料納付の猶予といった独自支援に乗り出す大学があるとはいえ、学費減免には踏み込んでいない。少子化で財政事情が厳しい大学も多く、学校側の自助努力にも限界がある。

 求められるのは、学びの継続を支援する国主導の取り組みだ。

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 安倍晋三首相は緊急事態宣言延長を表明した4日の記者会見で、アルバイトが減り困窮する学生の支援に向け、追加経済対策をまとめると明言した。

 政府は当初、給付型奨学金や授業料納付猶予の活用などを呼び掛けていたが、アルバイト学生への支援を強く求める野党に歩み寄りを見せた形だ。

 立憲民主党などの野党会派は、授業料減免と一時金支給を柱とした学生支援法案を国会に提出する準備を進めている。

 貧困問題を深刻化させた2008年のリーマン・ショックを超える急激な景気悪化である。その影響は、困窮世帯に限らず中間所得層まで及び、将来に不安を抱く大学生が多い。

 具体的な制度設計を急ぎ、学費の減免を含む幅広い支援を求めたい。

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 大学生同様、追い込まれている高校生がいることも忘れてはならない。

 県が16年に実施した高校生調査で、困窮世帯の生徒の半数近くがアルバイト経験があり、生活費や学校にかかる費用を自ら稼いでいた。

 このまま高校生活を続けられるか、1人悩んでいる生徒がいるのではないか。

 経済協力開発機構(OECD)加盟国で、日本の教育に関する公的支出の低さが指摘されてから何年もたつ。

 学生たちの苦境はこうした問題とも深く関係している。教育における公的責任が問われている。