実態のない事務所に政活費充当 中村県議 過去5年分返還、請求棄却

 自民党の中村和弥県議(59)=諫早市区=が実態のない事務所の経費に政務活動費を充当したとして、五島市の男性(51)らが県に返還を勧告するよう求めた住民監査請求に対し、県監査委員は8日までに、2018年度の事務所費96万円全額に政活費を充当しながら、実際には半分の48万円しか賃料を支払っていなかったとして差額の48万円について「違法な公金の支出」と指摘。一方、中村県議が同年度から過去5年の事務所費と利息約408万円を既に返還しており、請求は棄却した。請求人への通知は7日付。
 監査結果によると、中村県議が不動産仲介業者の領収書を複写し、賃料の領収書を自ら作成していたことも判明。中村県議は毎月8万円が口座から引き落とされていると思っていたが、実際は4万円だったという。事務所は中村県議の生計を異にする親族が所有している。
 中村県議は「不動産仲介業者の手をわずらわせないよう自分で領収書を作ったが、これについては申し訳なかった。契約書では8万円となっていたが、口座をしっかり確認しておくべきだった」と述べた。
 監査請求した男性は「長崎地検に告発状を提出しており、捜査してもらわなければならない」と話した。
 また監査結果によると、事務所の使用実態について、パソコンや議会関係資料を入れた書棚がある一方で、ベッドが置かれた部屋などがあった。中村県議は「政務活動以外に政党活動や後援会用務でも使った」と認めているという。監査委員は「政務活動専用の事務所とは認めがたく、政活費を全額ではなく案分(上限2分の1)充当すべきだ」と指摘した。


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