ウォーホル、リキテンスタイン、 奈良美智も:アーティストが手がけた絵本の世界へようこそ

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子どもの心を育て、親子ともに楽しめる知の友、絵本。この記事では、数ある絵本の中から有名アーティストが物語と絵、あるいは挿絵を手がけた絵本の数々を厳選して紹介する。

プレゼントにもおすすめの、アーティストたちによる絵本の世界へようこそ。

「3びきのこぐまさん」

ベルリンでダダイズムや構成主義など芸術に触れ、大正〜昭和にかけ「マヴォ(Mavo)」や「三科」といったグループ活動を通して日本近代美術に大きな影響を与えた村山知義。その村上が挿絵を描き、児童文学作家の妻・籌子が物語を手がけたのが、大型絵本の『3びきのこぐまさん』(1986年)だ。2012年に行われた展覧会「すべての僕が沸騰する 村山知義の宇宙」(神奈川県立近代美術館 葉山)でもフィーチャーされたこの絵本は、村山の活動を語るうえで欠かすことのできない要素のひとつ。
婦人之友社/ Amazon

3びきのこぐまさん

「アンディ・ウォーホルのヘビのおはなし」

言わずと知れたポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホル。アーティストとして名声を得る前、イラストレーターや広告デザイナーとして活動したウォーホルが発表した絵本が『アンディ・ウォーホルのヘビのおはなし』(1964年)だ。高級皮革ブティックのため描いた下絵に、新たに彩色することで完成した本著は、2017年に河出書房新社から復刊された。ウェブサイト「好書好日」では、横尾忠則による書評が掲載されているため、こちらもあわせて楽しみたい。
河出書房新社/ Amazon

アンディ・ウォーホルのヘビのおはなし

「Roy Lichtenstein’s ABC」

東京都現代美術館に、代表作のひとつである絵画《ヘア・リボンの少女》(1965年)が収められているロイ・リキテンスタイン。アンディ・ウォーホルらとともにアメリカのポップアートを先導したリキテンスタインの作品が挿絵となったABCブックが『Roy Lichtenstein’s ABC(ポップ・アート絵本 ロイ・リキテンスタインのABC)』(2013年、筆者:ボブ・エーデルマン)だ。子どもの英語教育用絵本、作品集としても楽しめる1冊。
Thames & Hudson/ Amazon

Roy Lichtenstein's ABC

「がちゃがちゃ どんどん」

1954年、兵庫県芦屋市で結成された前衛美術集団「具体美術協会」のメンバーであり、アンフォルメルの画家としても注目を集めた元永定正。今年2月にファーガス・マカフリー 東京で行われた個展も記憶に新しい元永は、絵本作家としても広く知られている。1990年に発刊された『がちゃがちゃ どんどん』は、耳から聞こえるさまざまな音を絵にした、オノマトペの絵本。ぜひ声に出して楽しんでほしい。
福音館書店/ Amazon

がちゃがちゃ どんどん

「まるのおうさま」

独学で絵・デザインを学び、戦後日本を代表するグラフィックデザイナーとして活躍し、複製・量産の概念を表現に取り入れた粟津潔。金沢21世紀美術館によって継続的なリサーチも進められてきた粟津が挿絵を担当するのが、『まるのおうさま』(1971年)だ。2019年、福音館書店から限定復刊したこの絵本は、お皿、シンバル、タイヤ、ボールベアリングなどの丸いものがそれぞれ「まるの王さま」を自称し、「まる」という存在を機軸に奇想天外に展開していく物語。粟津の絵に寄り添う言葉は詩人・谷川俊太郎によるもの。
福音館書店/ Amazon

まるのおうさま

「ジャリおじさん」

1980年代より、絵画を中心に音や写真、立体作品を発表し、現代アートのみならず、デザイン、文学、音楽など多方面で活躍してきた大竹伸朗。「ニューシャネル」のTシャツでも知られる大竹が、1994年、鼻の先にヒゲのある「ジャリおじさん」を主人公とした冒険物語を発表した。福音館書店のウェブサイトには、「絵が奇想天外でしかもおしゃれです。お話もシュールで何度読んでも飽きません。プレゼントにもいいと思います」との感想も。第43回小学館絵画賞受賞。
福音館書店/ Amazon

ジャリおじさん

「ともだちがほしかったこいぬ」

奈良美智の名を聞いて、子どもや犬のモチーフを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。1999年に発刊された『ともだちがほしかったこいぬ』は、犬の表紙が印象的な絵本スタイルの作品集だ。内容は、あまりに体が大きすぎるため誰の目にも留まることのなかった寂しがりやの子犬と、その子犬の存在に気づく少女との出会いを描いた心温まるストーリー。
マガジンハウス/ Amazon

ともだちがほしかったこいぬ

「りんごとけんだま」

船が水面を進む軌跡をファスナーに見立てた《ファスナーの船》(2004年)や、舞い落ちる葉がまばたきのように見える《まばたきの葉》(2003年)など、ものの見方や世界のとらえ方を問いかける作品を手がけてきた鈴木康広。鈴木は、ニュートンが「万有引力の法則」を発見するきっかけとなったりんごをけん玉の玉に引用し、地球の重力を体感できる玩具「りんごのけん玉」を発表している。絵本『りんごとけんだま』は、同玩具の延長線上にあるもので、りんごとけん玉が「仲が良い理由」を解き明かすもの。けん玉を片手に楽しんでみるのも良いかもしれない。
ブロンズ新社/ Amazon

りんごとけんだま

「ふゆ」

こうの あおい(葵・フーバー・河野)は1936年東京生まれ、東京芸術大学図案科卒業。ストックホルム王室デザイン工芸大学で主にレタリングを学び、61年にミラノに移住。マックス・フーバーのスタジオにて助手を務めるかたわら、イラストレーションの仕事に協力した。主にテキスタイル、カーペット、絵本、玩具を手がけ、エッチング、セリグラフ、絵画制作なども行ってきたアーティストだ。こうのの絵本『ふゆ』はイタリアで出版され、その後世界6カ国で翻訳、40年以上愛され、待望の日本語版は2013年に出版された。冬の空気と静けさを感じる絵本になっている。
アノニマスタジオ/ Amazon

ふゆ

「おかお みせて」

ほしぶどうは1984年生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業後、2003年より、イベントオーガナイザーとして音楽・美術・映像関連の企画やDJの活動を始め、2012年よりイラストを発表。「星葡萄」名義では、2015〜19年、河出書房新社の『文藝』で表紙・装画を手がけてきた。ほしぶどうにとって初の絵本となる「おかお みせて」は、動物園で会うことのできる動物たちが次々とこちらを振り返る絵本。自宅でいつでも動物園気分を味わえる1冊。
福音館書店/ Amazon

おかお みせて

「ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ」

豊田市美術館で行われた個展「視覚のカイソウ」が大きな話題となった造形作家、批評家の岡﨑乾二郎。その岡﨑による絵を起点に谷川俊太郎が文を書いた絵本が『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』だ。「ぱぴぷぺぽ」の音のみで構成されるテキストは、子どもと一緒に大きな声で読み上げたい。
クレヨンハウス/ Amazon

ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ