【メガバス・ORCバーニングシャッド】ジャイロバランサーで激ロール! この夏注目のコンパクトサーフェスプラグ!!【NEWアイテムインプレ】

昨年登場し、サーフェスプラグのニューウェーブとなったオーバーレブクランク、通称O.R.C.。2020年にはその意思を受け継ぐNEWモデルが登場しました! その特徴やオリジナルとの使い分けを、メガバスのサーフェスプラグの歴史と共に紹介します!

忙しい人のための「ORCバーニングシャッド」解説

O.R.C. バーニングシャッド(メガバス)

【スペック】
●全長:58mm ●重さ:3/8oz ●タイプ:フローティング ●カラー:12色

表層~水深80cm程度までのレンジをカバーするサーフェスプラグがこのO.R.C.バーニングシャッド。

LBOⅡによる低重心化とジャイロバランサーによる左右への慣性モーメントが組み合わさった「ジャイロ・バランシングLBO」のおかげでフラットサイドボディを激しくロールさせながら泳ぐことが可能であり、表層系プラグとは思えないほどのハイアピール性能を持ち合わせています。

6cmに満たない小型プラグではありますが、LBOⅡのおかげで高いキャスタビリティを持つ点にも注目です!

なお、2019年に登場したオーバーレブクランクの兄弟機に当たるモデルであり、こちらの方が一回り小さい、最大潜行深度が深いといった違いがあります。

店頭ではこのパッケージが目印です!!

ここから先はちょっとディープな話で長くなりますので注意ですが、お時間がある方はぜひご覧ください!

このルアーの注目ポイント

1:激しいロールアクション

ブルーギルやフナを彷彿とさせる体高のあるデザインではありますが、アクションは激しいロール系です。

その秘密は、内蔵されているウェイトギミックにあるんです。

その名も「ジャイロ・バランシングLBO」

このルアーには大きく分けて3つのウェイトが内蔵されているのですが、そのうちの2つが組み合わさったのがそのギミックの正体です。

その1つ目というのが、瞬間的な重心移動を可能にし、低重心化にも大きく貢献するLBOⅡ。そして2つ目は、ボディ上部に設けられた、左右へ移動可能なウェイトジャイロバランサーです。

もっとも体積が大きく、ボディ前後方向に延びるLBOⅡは、それ単体でも大きく低重心化に貢献し、起き上がりこぼしさながらのロールアクション時の支点の役割を果たします。

そしてジャイロバランサーはボディのロールアクションに同調する形で左右へと移動します。この時、ボディにウェイトが接触してサウンドを発生するとともに移動時の慣性が働き、より倒れこむようになっているのです。

こうして発生する激しいロールアクションがまるでレブリミッターを振り切ったエンジンの様であることから、オーバーレブの名がつけられているわけなんです。

2:見た目

そんな大仰なシステムが入ってはおりますが、見た目はシンプルで高いデザイン性です。

リップの取り付け角度はほぼ直角。幅が広く、かなり水噛みがよさそうな形状です。

そして最大の特長ともいえるのが、フラットサイドボディである点。

前述の激しいロールと組み合わさることによって、驚くべきフラッシング効果が期待できるわけです。

そしてジャイロバランサーによるラトルサウンドが加わって、表層用ルアーでありながら深いレンジの魚へも強烈にアピールすることが可能なんです。

なお、カラーは全12色で、明滅効果に期待の持てるカラーを中心にラインナップされています。
ちなみに現在手元にあるカラーは下の2色。

上:ネロデイトナ
オーバーレブクランクでも話題になった(?)エラブタにスマイルマークが入ったカラーです。そんなかわいらしいワンポイントに目が行きがちですが、お腹にオレンジ、ボディ側面は透明感の高いブラック、背中にはゴールドのウロコ模様とその配色はかなり渋め。

下:GGギル
メガバスのお家芸的カラーリングのグアニウムゴーストフィニッシュを採用したギルカラー。エラブタの主張が強いこのルアーはやっぱりギル系カラーが似合います! この記事を書いている福重が好きなカラーです(笑)。

3:コンパクトなサイズ感と使い分け

上:オーバーレブクランク(70mm) 下:バーニングシャッド(58mm)

バーニングシャッドは、2019年にリリースされたオーバーレブクランクに比べて一回り小さいサイズ感となっています。

この点から、

・フィールドが濁っていたり水深の深い場所から魚をひっぱりたい
→アピール力の高いオーバーレブクランク

・小場所やハイプレッシャー時、魚が小さいとき
→コンパクトなバーニングシャッド

という使い分けができそうです。

手のひらに乗せると、そのコンパクトさが良くわかるかと思います。

それぞれの自重の実測値はバーニングシャッドが9g、オーバーレブクランクが16g。

左:バーニングシャッド(9g) 右:オーバーレブクランク(16g)

この1つで比べるとかなり差は大きく感じますが、バーニングシャッドの全長58mmはメガバスのトップウォーターではポップX(64mm)よりも小さいサイズです。

体積的な面ではバーニングシャッドが勝っているとは言え、ポップXが約7gですので、この小ささで2gも重いということは、LBOⅡの存在も相まって、かなりのキャスタビリティが期待できますね。

また、オーバーレブクランクが水面直下10cm程度を想定しているのに対し、バーニングシャッドの潜行深度は約80cmと深め。

タックルセッティングや、操作の仕方次第ではシャロークランクとしても使用できるのがバーニングシャッドなのです。

なお、この違いがあることから、オーバーレブクランクジュニアという名では無く、バーニングシャッドとなったそうです。

詳しくはかつぅさんの動画もご覧ください!

実際に投げてみたところ、かなり気持ちのいい飛び感でした。泳ぎだしの良さもさすがの一言で、リトリーブスピードの対応幅もかなり広い印象です。またサイズ感は個人的にかなり好みな感じです。写真はオーバーレブクランクで釣ったものですが、このころから小さいサイズを待っていました(笑)ただし、思ったよりも簡単に潜りやすいように思いました。自分はフロロ10lbで投げていましたが、遠投するとロッドを立てても水中を泳いでしまいます。タックルセッティングやリトリーブスピードの調整、キャストの距離感が使いこなすためには重要そうです。

30年以上の歴史を持つメガバスにとっても稀有なプラグができるまで

ここからはメガバスのこれまでのルアーを思い出しながらバーニングシャッドに至る経緯を探ってみます。

ポップXやドッグXなど、メガバスにはたくさんのサーフェスプラグがありますが、リップ付きのものとして最も古いルアーになるのはおそらくプロップダーターだと思われます。

プロップダーター80

シャイナー形状のミノーであるX80をベースに、2000年に誕生したルアーです。翌年にはマイナーチェンジしていますが、すでに20年以上のロングセラーアイテムとなっています。

続いて2003年に登場したのがグリフォンゼロ

グッドデザイン賞も獲得しているクランクベイト・グリフォンの発展形として登場しました。

そしてこのグリフォンゼロはなんと、バーニングシャッドにも搭載されているジャイロバランサーシステムが初めて搭載されたルアーでもあるのです。

そういう意味ではグリフォンゼロはバーニングシャッドの源流であるともいえそうですね。

ちなみに、このジャイロバランサーシステムの根幹ともなるシャフトバランサーシステムを初めて搭載したのが2001年に登場したビジョン95。わずか1年でこの画期的なシステムを考案しているのだから驚きです!!

さて。ここまで紹介してきた2つのルアーは今でこそメガバスのルアーではありますが、当時は別ブランド、ITOエンジニアリングの製品としてリリースされていました。

次に紹介するルアーこそがメガバスのリップ付きトップウォーターとしては元祖かもしれません。

それが2004年に発売されたコチラ。

アンスラックス

グリフォンゼロのシャフトバランサーシステムが移植されたアンスラックス

天地逆さまのままとはいえこのベイトフィッシュライクなプラグが見せるアクションのド派手さは、今見ても物凄いインパクトです。

インパクトと言えば、トップウォーターのジャンルでありつつメガバス初のビッグベイトでもある2005年デビューのITジャックシリーズの登場も印象的だったのではないでしょうか?

ITジャックJr.

元祖ビッグベイトと呼ばれることもあるフィッシュアローのモンスタージャックに、メガバス(厳密には当時のITOエンジニアリング)によるチューニングが施されて発売されたものがITジャックシリーズです。サイズ違いでノーマル、ジュニア、ベビーの3種類がありました。

大質量のボディを水面で暴れさせながら、ウッドボディならではのジョイント部分の接触音や、金属パーツによって奏でられるサウンドが混ざり合うハイアピールルアーでした。

その後もリップ付きのトップウォータープラグはぞくぞく登場しておりますが、面白いのは2007年にリリースされたラットXでしょうか。

ラットX

往年の名作・メドウマウスのオマージュともいえるネズミ型のサーフェスプラグです。

メガバスらしからぬ可愛らしい見た目とは裏腹に、ヒョウタンを用いた伝統漁法から着想を得ているというメガバスらしいエピソードが添えられているというのが印象的でした。

なおこれ以降も、2011年の卯年にZバド(USAバージョン)、2012年の辰年にドラゴンバド、2016年の申年にゴングと、動物モチーフのウェイクベイトはいくつも誕生しています。

そして2015年、ITジャックのサウンドパワーに着目して誕生したのがIジャックです。

Iジャック

ラダーアクションバランサースシステムという機構が搭載されており、これはITジャックのジョイント部分から発せられるウッドボディならではの「ポクポク音」を再現するために生み出されたものでした。

そのラダーアクションバランサースシステムですが、内蔵された左右に動くフラップの先端に取り付けられたウェイトがボディ側面にヒットすることで音を発すると共に、倒れこむようなロールアクションを実現するものとなっています。

そう、アクションに影響を与えるウェイトとしては、ラダーアクションバランサーシステムはオーバーレブクランクやバーニングシャッドに搭載されているジャイロバランサーシステムと同様の狙いがあるのです。

そのためIジャックも、フラットサイドボディとローリングアクションがあいまって放たれるフラッシングや引き波が武器のルアーでありました。

そしてIジャックの誕生から数年後、まったく別の角度から似て非なるルアーの開発がスタートしました。

それが昨年リリースされたオリジナルのオーバーレブクランクです。

当初からIジャックに似たコンセプトで開発が進められていたようですが、ラダーアクションバランサーを組み込むためには相応のボディサイズが必要なため、オーバーレブクランクには不適合だという結論にいたったのは開発ブログにもある通りです。

そしてオーバーレブクランクは人気ルアーとなり、2020年、今回紹介したバーニングシャッドの誕生へと至ったわけなのです。

30年以上という長い歴史があるからこそ実現したルアー。

それがO.R.C. バーニングシャッドなのです。

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