護衛艦きりさめ出航 中東派遣「任務遂行に全力尽くす」

中東へ向け出航する海自護衛艦「きりさめ」=佐世保市、倉島岸壁

 中東海域での日本関係船舶の安全確保のため、情報収集に当たる海上自衛隊佐世保基地の護衛艦「きりさめ」が10日、佐世保から現地へ出航した。第1陣として2月下旬から任務に当たる護衛艦「たかなみ」と交代する。新型コロナウイルス対策として艦内でPCR検査を行い、2週間は日本近海で訓練をしながら健康状態を観察。感染者がなければ、6月から現地で活動開始する見通し。

 海自佐世保地方総監部によると、きりさめは白石豪艦長ら約200人が乗艦。数カ月間、オマーン湾やアラビア海北部で航行する船舶の把握や不審船の警戒に当たる。ヘリコプター2機を搭載。大音量で不審船を追い払う「長距離音響発生装置」(LRAD)2機も取り付けた。
 長崎県佐世保市干尽町の倉島岸壁で行われた出国行事は、新型コロナの感染拡大を受け、派遣隊員家族や来賓の出席を取りやめた。中尾剛久・佐世保地方総監が河野太郎防衛相の訓示を代読。たかなみが入手した情報は政府の関係部局や関係業界で共有され、大きな安心感を与えたとし、「新型コロナの影響で、補給地で上陸が認められず、フラストレーションがたまることもあると思うが、任務遂行に支障が生じないようバックアップする」と強調した。
 出航に先立ち、指揮官を務める第8護衛隊の横田和司司令は長崎新聞社の取材に「世界の主要なエネルギー供給源である中東地域で、日本関係船舶の航行の安全を確保することは非常に重要。そのために必要な情報収集態勢を強化することは必要と考える。任務遂行に全力を尽くす」と文書で答えた。

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