通信制高校の就職率はどれくらい?卒業後の進路や就職の注意点も紹介

高校といっても全日制高校や定時制高校、通信制高校などがあります。自分のペースで勉強できるとして注目されている通信制高校ですが、卒業後の進路や就職にはどのような選択肢があるのでしょうか。ここでは通信制高校の就職率や卒業後の進路、通信制高校ならではの注意点について紹介します。

通信制高校の就職について

全日制高校は昼間、定時制高校は夜間、そして通信制高校はスクーリングと呼ばれる登校日以外は自宅などで学習し、単位を取得します。通信制高校はすでに働いている人や高校を中退した人、不登校やいじめに悩む人など、さまざまな人が通っています。通信制高校に子供を進学させたいと検討している親御さんもいるかもしれません。そこで気になるのが、通信制高校の就職や卒業後の進路です。

通信制高校卒業者の就職について

通信制高校を卒業した後に就職する方も多いといいます。文部科学省が発表した「学校基本調査」によると、平成30年に通信制高校を卒業した人は56,283人で、前年度よりも2,733人増加という結果となりました。そのうち就職した人は約11,026人で、通信制高校卒業後に就職している人は年々増加傾向にあることが分かりました。通信制高校の中には就職に力をいれている学校もあることから、通信制高校を卒業して高校卒業資格を得た後に就職するという人も少なくないそうです。

参考

学校基本調査-令和元年度結果の概要-,p24|文部科学省

高校中退や中卒よりも就職率は良い?

通信制高校を選択する理由は人によってさまざまですが、なかには高校を中退して通信制高校に通う方や、中学を卒業してからあえて通信制高校を選択するという方もいます。高校中退や中卒の場合は、学歴が就職に影響することもあるでしょう。通信制高校を卒業することで、就職を含めた進路選択の幅の広がりが期待できます。

厚生労働省が毎年発表している「高校・中学新卒者の就職内定状況等」によると、令和元年7月末時点で、高校新卒者の求人数は約44万3千人、中学新卒者の求人数は1,084人という結果となりました。このことから、高校中退者や中卒者よりも、通信制高校卒業者の方が就職率が高くなると考えられます。

参考

令和元年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」取りまとめ~高校生の求人倍率は2.52倍、求人数は前年比 4.0%増~|厚生労働省

通信制高校卒業後に大学へ進学する人はどれくらい?

通信制高校卒業後の進路には、就職だけでなく進学という選択肢もあります。前述した同調査によると、平成30年度の通信制高校卒業者56,283人のうち、大学へ進学した人は10,104人、専門学校へ進学した人は12,212人という結果となりました。通信制高校卒業後に半数近くの人が進学を選択しており、大学受験資格を得るために通信制高校へ通うという人もいるといいます。

参考

学校基本調査-令和元年度結果の概要-,p24|文部科学省

通信制高校卒業後に東大へ進学する人も

通信制高校を卒業した人の中には、難関大学へ進学する人もいます。例えば、新宿山吹高等学校の通信制課程の卒業生には、東京大学・明治大学・早稲田大学・法政大学など有名校への進学実績があります。通信制高校を卒業することで高校卒業資格だけでなく、大学受験資格も得ることができ、その後の進路へとつながります。

参考

平成30年度 通信制課程 卒業生進路状況|東京都立新宿山吹高等学校

通信制高校卒業者が就職の際に注意するポイント

通信制高校を卒業することで、高校中退者や中卒者よりも就職が有利になることは前述した通りです。しかし、すべての場合において有利になるとは限りません。ほかの求職者と同様、面接や筆記試験などに合格する必要があります。特に通信制高校卒業者の場合は、以下の点についても留意しましょう。

通信制高校卒業の捉え方は企業によって異なる

企業や面接官によっては、通信制高校卒業の捉え方が異なることも考えられます。例えば、高校卒業を応募条件にしている企業の中には、面接時や書類審査の際に「なぜ通信制高校へ入学したのだろう」「定時制の高校を卒業した人の方が評価は高い」と考えるケースもありえます。企業によって、通信制高校卒業者に対するイメージが異なる点は理解しておきましょう。

履歴書の書き方を工夫する

通信制高校の中には、就職をサポートしてくれる学校もあるでしょう。企業に提出する履歴書の書き方も専門家のアドバイスを受けることで就職に有利になる可能性があります。通信制高校はアルバイトなどがしやすい環境にあることから、アルバイトを通してビジネスマナーやコミュニケーションスキルを身につけていることを自己PR欄に記載し、就職活動で役立てることも可能です。

TOEICや簿記検定など、資格取得をバックアップしてくれる学校であれば、特技や資格の欄に記載し、アピールすることができます。通信制高校を選択した理由についても、なるべくポジティブな内容にするなど面接対策をし、就職活動で有利になるよう準備しましょう。通信制高校卒業後に就職を希望しているのであれば、進路指導やサポートが充実している学校を選ぶことも一つの方法です。

就職を有利にするための通信制高校の選び方

通信制高校卒業後に就職を希望している場合は、学校が設置しているコースにも注目してみましょう。例えば、公務員を目指している場合は公務員試験に備えたコースを設置している学校や、官公庁の人事担当者を招いた講演会などを行っている学校など、公務員試験の合格や内定を目指している学校を選ぶと良いでしょう。

なかには美容師や調理師などの専門知識を学ぶことができ、卒業時に国家試験受験資格が得られる学校もあります。ほかにも公認会計士や税理士など、難関資格取得専用のコースを設置している学校など、卒業後の進路に合わせたさまざまなコースが設定されています。公立の通信制高校は通信教育がメインですが、私立の通信制高校は個人の目標に合わせてカリキュラムを設定するなど、就職や進学をサポートする学校も多いといいます。各校の就職率などを参考にしながら、就職に有利になるよう意識して学校を選びましょう。

通信制高校は就職に有利な学校を選ぼう

通信制高校では自分のペースで勉強し、高校卒業資格を目指すことができます。通信制高校卒業後は大学や専門学校への進学はもちろん、就職する方も多くいます。就職に力をいれている通信制高校を選ぶことで、就職にも有利になります。子供に合った学校を選ぶことで、就職活動や進路選択に役立てましょう。

参考

学校基本調査-令和元年度結果の概要-|文部科学省

通信制高校卒業後の就職率はどうなってる? 気になる生徒たちの進路について | みんなの通信制高校ナビ

「中卒」と「通信制高校卒」で、就職や仕事に違いはある? | GO!通信制高校

就職を考えたとき「通信制高校卒業」の方が高校中退よりも就職に有利な5つの理由 | 通信制高校広場

通信制高校の卒業後に就職したい人必見!就職に有利な学校を選ぶために知っておきたいこと |ズバット通信制高校比較

© 株式会社SEKAISHA