テレワーク向きのビジネスホテルで「テレワークステイ」をしてみた

“STAY HOME”が合言葉の今、ただひたすら自宅で原稿に向かう日々です。先日、必要緊急の私用で自家用車にて多摩地区へ出向くことになりました。翌々日も出向かねばならず、移動を最小限にするということと、折角の機会でもあるので、テレワークで可能な仕事に従事していることに改めて感謝しつつ、大量の仕事を持ち込んで2泊のビジネスホテルステイを決めました。


リモートワーク場所としてのビジネスホテル

とはいえ、目下緊急事態宣言下であり休業しているホテルもあります。観光向けホテルでは特に休業は多いのですが、都市部のビジネスホテルなどは仕事での需要やそれこそテレワーク、リモートワークの滞在場所として利用されているというニュースを見ます。食事の問題もあります。

通常のビジネスホテル泊であれば近くの居酒屋などで夕食を済ますところですが、そうはいきません。やはりテイクアウトを前提としたい。

そうなると商店も多いターミナル駅近くのホテルが候補となります。そんなことを考えつつあるホテルを思いつきました。立川駅南口にある「立川ワシントンホテル」。以前利用した際、確か大きなデスクとデスクワーク向きビジネスチェア、大きなデスクスタンドも完備している部屋があったはずです。調べてみるとこのようなご時世だからか格安で楽々リザーブできました。

さて出掛ける準備をしよう。筆者の仕事はフリーランスの取材&執筆仕事。基本的にはデスクワークであり、いかに快適にデスクへ向かえるかは常日頃取り組んでいるテーマです。すなわち、ホテルでのリモートワークにおいてそうした環境を再現できるのかは大きなポイント。

まずはパソコン。日常的にノートPCで全てまかなっているので特段のストレスはありません。周辺機器やケーブルなども確認。そしてテレビ環境。至極個人的な話で恐縮ですが、テレビをつけながらでないと仕事ができないタイプ。そして“ながら見”でいい。

一般に放送されている番組(つい見入ってしまう)ではなく、寅さんや北の国から、美味んぼ、孤独のグルメなど個人的に何度も見ているような映画やドラマが「ながら作業」に向いています。

録り貯めたディスクも相当です。ということでまず小型のブルーレイプレイヤーもバックに忍ばせました。HDMIケーブルも必須だし一番はリモコン。これがなければ動きません。もちろんディスクケースも。また、ホテルに籠もれば特にどこへ出掛けることはないので普段着&部屋着も持参。なるべく自宅と同じ環境にしたいのでホテルの客室着はパスしたい。

ホテル到着。まず靴を脱ぐ。お持ち帰りスリッパなのが助かります。個別空調のエアコンと、窓が開閉できるのも嬉しい。さて、ホテルの方に客室テレビへ機器をつなげて良いのか確認します。快諾いただきハイペックなHDMIケーブルまで用意してくれました。感涙です。接続しテレビ本体のリモコンで入力切り替え。無事完了。このホテル、デスクも広いがコンセントが左右にあるのも有り難い。

ネット環境はかなり重要です。オンラインミーティングをはじめ、常時繋ぎっぱなしという人も多いことでしょう。ホテルによっては回線が混雑すると役に立たないこともありますが、そうした情報は意外にも口コミを確認するとわかります。

コロナ禍における食事情は?

執筆仕事に集中していたら夕食タイム。パソコンで周辺のテイクアウトグルメ環境をチェックします。ホテル横の通りにはコンビニエンスストアやスーパーマーケットもありますが、2分ほど歩けば駅ビルがあり、いわゆるデパ地下的な店舗が複数開店している模様。

そのような中で、気になったのは駅前通りにある「日高屋」です。東京近郊の方であればご存じの方も多いかもしれませんが、ファストフード的に中華料理が楽しめます。以前からテイクアウトも可能でした。飲み屋としても使えるお店ですが、目下そうしたムードは皆無でしょう。そんな日高屋だけに以前にも増してテイクアウトに力を入れているそう。

実際に出向いてみると注文からピックアップまで極めてスムーズ。コロナ禍に限らずテイクアウトに力入れてきたお店って、今まさに本領発揮しているよなぁ。それにしてもバクダン(辛い野菜炒め)美味い! ホクホクをテイクアウト、コンビニで缶チューハイなどを仕入れ無事帰還。ところがホテルへ戻ると緊急のオンラインミーティング(取材)依頼。これが自分の仕事と言い聞かせ30分ほど対応。ホテル客室でのオンラインミーティングって背景が絵になるのが何だか嬉しい。

ミーティング終えるとテイクアウト料理が冷めてしまっていましたが、そこはビジネスホテル。電子レンジがあるではないか(電子レンジの横にはパソコンとプリンターもありました)。こんな時、高級ホテルよりもビジホが使い勝手良さそうです。ビジホ客室でのひとりご飯は以前にも記事を書きましたが、やはりミョーに落ち着く。しかも今夜はお気に入りの番組ディスクまで手元にあります。ストレスためずに1日目終了。

ビジホテレワークステイ2日目

2日目は早朝起床。朝の日課であるウォーキングも、アウェイな街の中心部をグルグルしているだけで楽しくノルマの距離もあっという間。しかし、2日目も午後になると同じ部屋に籠もっていることに飽きてきて睡魔が。でも目の前には快適なベッドがあるので臆することなくダイブします。そう、マットレスのクオリティなど快適なベッドというのもビジホリモートステイにとって大切な条件です。

夕食が唯一の楽しみ的なステイになってきましたが、調べてみると駅ビルのレストランには和洋中様々なお店が入っていてテイクアウトもやっている模様。大好きな四川飯店のチェーンもあったので麻婆豆腐をテイクアウト。

2日連続で中華メニューもどうかと、焼き鳥や寿司折りなどそうはいっても飲み前提のバラエティ豊かなラインナップ。ワインなども仕入れディナータイム。リモートワークステイで広めのデスクは超重要と改めて思います。仕事のスペースとしてそしてダイニングテーブル的なスペースとしても。そして眺望も重要です。長時間客室に籠もる際には窓外の景色は気分転換になります。夕食をとりながら夜景を愛でることもできます。このご時世、客室タイプの指定も容易なはずです。

会社負担で利用する人も

精神的に気分的にもあと何日間滞在できそうか試してみたかったのですが、そうもいかず最終日。ホテルの方にリモートワークステイについてインタビュー取材の時間をいただきました。

話によると、以前からサラリーマンの利用率が高く、デスクワークに適すようにデスク周りには気遣ってきたといいます。そのような従前からの対応もあってか、コロナ禍でのリモートワークで引き合いも出てきているといいます。

特に、都心へ通勤、自宅は多摩地区でもさらに郊外に住む人に立川のホテルは好評とのこと。立川から都心へは中央線も速達性が高く、イザというときにはサッと移動できる安心感も高いという声もあります。それも駅近ホテルであればベターでしょう。

コロナ問題以前であれば100パーセント近い稼働で料金も上昇傾向というホテルだったといいますが、今のこの時期はとても利用しやすい料金になり、会社負担もあるケースも散見されるとのことです。

より一層の安心・安全・サービスを

今後もテレワーク・リモートワークで選ばれるホテルになれるよう、貸し出し品やテイクアウトの情報、お店との提携、宅配の利用なども含め、地元あってのホテルということを改めて意識しつつ対応していきたいと語ります。

感染症対策についてはどうでしょうか。新型コロナウイルスの問題が大きくニュースになって3ヶ月ほど経ていることもあり、徹底した清掃・消毒等へのスタッフ対応も当初よりもかなり安定感が出てきているといいます。

ホテルの裏側についても少々話を聞いてみました。稼働率が低いので時差出勤などスタッフへ苦労をかけていることが大変だといいます。しかし、こうした時間のある時期に客室のインスペクション・修繕、スタッフ研修や場合によってはスタッフに宿泊してもらうなどサービスレベルを上げる取り組みもしているとのこと。


今回は個人的な理由で立川のホテルステイとなりましたが、テレワークで滞在する人それぞれに条件があることでしょう。また、単にホテルであれば良いということでもなく、中にはデスクすらないホテルもあります。今回の滞在でわかったテレワークステイでチェックしたい点をまとめてみました。

★ポイントになる項目

1、デスクの広さ
2、コンセントの場所や数
3、デスクチェアのクオリティ
4、デスクスタンドの有無
5、ベッドのクオリティ
6、個別エアコンや窓の開閉といった空調環境
7、できれば眺望の良い客室

★留意したい点

1、特にビジネスホテルの客室は飽きるので気分転換のグッズも準備
2、自宅にいるような寛ぎにも配慮(部屋着や使い捨てスリッパなど)
3、近隣コンビニエンスの有無、テイクアウト環境、宅配利用の可否なども確認


ホテルに缶詰なんていう作家さんの話を聞きます。まさにホテルの部屋といえばデスクワークに集中できそうなイメージです。リモートワーク、テレワーク、デイユース……コロナ禍でホテルの利用法も多様化しています。

でも今回感じたことは、ホテルの部屋は基本寝るためにつくられているということです。だから夜になると不思議と眠くなる。ホテルの部屋で自分にあった生活リズムをキープするのは少し努力が必要かもしれません。

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