「早くも値崩れが…」街角にあふれるマスクは中国製、異業種大量仕入れも焦り

ドラッグストアでは品薄が続く中、異業種の店頭に並ぶ箱マスク(京都市内)

 新型コロナウイルスの感染拡大でドラッグストアからマスクが消える中、飲食店や衣料品店など異業種の店で箱入りのマスクを販売するケースが京都市内など各地で目立っている。業務上のルートを使って中国から直接仕入れている店が多いとみられる。一方で扱う店が急速に増えたことから価格競争も激しくなっている。

 中京区の繁華街。衣料品店や雑貨店の店頭で、50枚入りの使い捨てマスクが山積みになった状態で売られている。1箱3千円で販売していた衣料品店の30代店員は「普段から商品を中国から輸入しており、そのつてを使って仕入れている」と話す。店員によると2月から仕入れ始めたが、世界的に需要が高まった3月には手に入らなくなったという。「正確なことは分からないが、中国でマスクの増産が進み、現地では感染もピークを越えたことで、最近は入手できるようになったと聞く」

 同様に販売していた近くの土産物店は本業でも中国と取引があり、その仕入れルートを使って4月半ばに約700箱輸入したという。担当者は「土産物の売り上げが激減しているので、せめて売れる商品を、と臨時的に販売している」と話す。
 南区の酒販卸業社では、海外事業部の中国人スタッフがマスク工場の関係者と知り合いだった縁で、自社製品として6千箱輸入した。取引のある市内の飲食店に卸したほか、4月20日ごろから店頭で1箱3千円で販売したところ、1週間で4千箱売れたという。
 一方、「マスク値下げしました」「タイムセール中」の張り紙がしてある店もある。中京区の居酒屋は4月中旬に1箱3300円で販売を始めた。当初は1日に30個ほど売れたが、5月になって売れ行きが落ち、大型連休後に2700円に下げた。店長(43)は「あちこちで売るようになり、安いものもある。値下げせざるを得ない」と話す。
 インターネットの通信販売でもマスクは値下がり傾向にあり、最近は1箱2千円を切る商品も見つかる。中国から大量に買い付けたというある業者は「値崩れが起き始めている。在庫が残らないか、焦りも感じる」と危機感をにじませた。

■ドラッグストア「しばらく品薄」

 ドラッグストア(DS)やスーパーではマスクの品薄状態が続く。大手DSチェーンによると、「十分な確保は難しく、品薄はしばらく続く」。感染拡大前は50枚入り600円~1000円が売れ筋だったが、全国的に入荷は非常に少ない状態という。
 街角にマスクがあふれている理由について、衛生用品のメーカーや輸入販売業者でつくる日本衛生材料工業連合会(東京都)は「中国の店頭で買い上げて日本に送っているという話も聞くが、どういうルートで入っているのか全く分からないというのが正直なところ。品質が正しく管理されているかも分からない」と話している。

 

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