アンタッチャブル

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 「アンタッチャブル」という映画をご存じだろうか。禁酒法時代の米国を舞台にギャングと捜査官たちの闘いを描いた実話に基づく物語。アンタッチャブルとは、捜査官たちがどんな買収にも応じず「触れられない」存在であるからだ▲日本でアンタッチャブルな組織として思い浮かぶのは検察だ。これまで何人もの大物政治家を摘発してきた。随分前の話になるが1993年には「政界のドン」といわれた金丸信元自民党副総裁を脱税容疑で逮捕し、政権に衝撃が走った▲県内では2003年に長崎地検が自民党県連による違法献金事件を立件。捜査は複数の県連幹部に及び、検察の存在感を知らしめた▲その検察の人事に政府が介入しようとしているとして各方面から批判の声が上がっている。政権に近いとされる人物を定年延長させて検察のトップに就かせようとしているとの疑念が持たれているのだ▲違法献金事件のとき、長崎地検次席検事として捜査を指揮した郷原信郎氏が長崎市で講演した。定年延長問題にも触れ、「強力な権限を握る検察を丸ごと政権の支配下に置くのは危険だ」と危機感を示した▲検察官の定年を延長する検察庁法改正案は国会で審議入りしている。アンタッチャブルであるべき組織が「支配下」に置かれるのか。議論に注目したい。(豊)