豊前市唯一のビジネスホテル 築上館(有)が破産申請、需要減に次いで「新型コロナ」の影響で借入金弁済の目途も立たなくなり

 築上館(有)(TSR企業コード:023355166、法人番号:3290802021823、豊前市八屋1665-1、設立1991(平成3)年7月、資本金300万円、今村純久社長)は5月7日、福岡地裁行橋支部に破産を申請した。申請代理人は西畑修司弁護士(西畑法律事務所、大分県中津市新魚町1911-1、電話0979-26-0300)。
 負債総額は債権者17名に対して約2億8000万円。

 1909年に割烹旅館として創業。宴会場や結婚式場としても地元に親しまれ、2005年11月に現在のホテル「築上館」にリニューアルした。豊前市唯一のビジネスホテルとして出張の会社員や学校団体を中心に利用され、地元のロータリークラブの例会や宴会場としても定着していた。
 しかし、その後は周辺に所在する同業者との競争が激化するなか、景気後退の影響もあり業容は縮小。近年はバイオマス発電所の誘致に伴う工事従事者の需要を取り込んだが、全体の業績を支えるまでには至らず、2018年以降の年間売上高は7000万円程度にとどまり、赤字が慢性化していた。
 2020年に入り発電所が完成した後は稼働率が低下。こうしたなか、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響で宴会やイベントのキャンセルが相次ぎ、4月11日から休業していた。リニューアルで導入した借入金弁済のめども立たないことから、今回の措置となった。

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