普段なら餌を手にした子どもたちが列を作り、歓声が湧くカバの池。ゴールデンウイーク後半の5月上旬、休園で静まり返った長崎バイオパーク(西海市西彼町)では、動物たちの鳴き声だけが響いていた。
「動物たちはゆったりとして、ストレスはなさそう。むしろ、自分の方がリズムをつくりきれてない」。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月10日から始まった休園は5月末まで延長。入社4年目、カバとカンガルーの担当になったばかりだった。
感染拡大防止のため、交代制で世話をしており、担当以外の動物を受け持つ機会も増えた。夏に向けラマや羊の毛の刈り取りもしなくてはならない。「休園でも命を支える仕事に変わりはない」と話す。
趣味のカメラを生かし、同僚と共に、会員制交流サイト(SNS)への投稿にも力を入れる。「再開したら必ず行く」「動物の姿に癒やされた」。休園後、フォロワーからの反応は増え、それが励みになっている。「これまで癒やしを提供してきた園の存在意義を再確認できた。来園しても、SNSで見ても、人をワクワクさせる園にしたい」と前を見据える。