京都フィルハーモニーが志村けん「東村山音頭」をリモート演奏にて追悼動画を公開。「一万人の東村山音頭」を日本中を巻き込みリモート募集開始!

2020年4月末日、 オンラインを通して京都フィルハーモニーが「志村けんの全員集合 東村山音頭」をクラシックのアレンジで奏でリモート演奏した。 「みんなを楽しませてくれた志村けんさんに感謝の気持ちを込めて音楽でお返ししたい。 コメディタッチでみんなを笑わせたあの東村山音頭がアレンジによってしっとりした美しい曲に。 ここまで違った味わいになるのか‥…を感じて欲しい。 」と京都フィルメンバーでクラリネット奏者の松田学氏は語る。

今までクラシックを身近なものになるように、 音楽の裾野を広げる活動をしてきた京都フィル。 「演奏者として今この時にやれることはなんなのか?」とみんなで考え「もっと音楽を愛してもらいたい。 そして元気付けたい。 」との想いを形にするべく、 京都フィルメンバーと様々な演奏家とともにオンライン会議ツールDingTalkLiteを活用してリアルタイムでのリモート収録を行った。

そんなリモートハーモニープロジェクトの第一弾として始まったのが「1万人の東村山音頭」。 京都フィルメンバーを中心に集まった様々な演奏家と奏でた「クラシック東村山音頭」をYou Tubeにて公開。 この音源を元にして、 これから一般の方や様々な方々からの音源映像を募集して「一万人の東村山音頭」実現したいという。「リモートハーモニー」HPにて音源映像の募集を受け付けている。 演奏するためのスコアもダウンロードできるように用意されている。

当初は、 楽団の有志たちが集い、 追悼と感謝の意をクラシックの音にのせて届けようと動き出したこの取り組みは、 志村けんさんの「全員集合」をキーワードに1万人の音を「集合」させて重ねるべくスタートした。 このような取り組みの是非についてはメンバー内でも様々な議論もあったが、 長時間にわたるミーティングを重ねた末、 一致団結した。

「リモート演奏によってプロとしての演奏クオリティを下げてしまわないか」などの懸念もあったが複数ビデオチャットの音質の良さに定評があり、 リアルタイム収録が可能なオンライン会議ツールDingTalkLiteを使うことによりメンバーが集合して録音できることを知り、 課題を解決。 緊張感の高まる中、 それぞれがベストの音を目指して演奏し、 収録を終えた 。

京都フィルハーモニー室内合奏団は1972年に創立以来、 活動の柱としている学校音楽観賞会で延べ3000校、 190万人以上の子どもたちに楽しい音楽を届け続けている。 学校にあるような「ほうき」や「竹竿」などを楽器にして子供たちと演奏したり、 様々な意欲的な展開でクラシック界では異色の楽団。
最近ではポップスアーティストがクラシック編成でしっとり歌い上げるスタイルの珍しくはないが、 もともと厳格なクラシックの世界で風穴を開けたのは京都フィルからだった。 最近では夏川りみさんとポップスをクラシックで表現したり、 落語や漫才との共演、 また日本芸能の狂言や文楽とのコラボレーションなどジャンルを超えた挑戦こそが京都フィルのイデオロギーなのだ。 演奏においてもバイオリンの弓に張られている「馬の尻毛」をGUNZEの肌着を細く切って張り、 世界初の生地による音を出すことに成功したり、 今回の新しい録音形態に挑戦できる素地はあったのだ。

また、 今回、 辛坊治郎氏のラジオ「Sunday Kiss 」(Kiss FM KOBE日曜18:00-19:55)で京都フィルメンバーでヴァイオリニストの森本真裕美氏が電話出演し、 コロナにおける窮状やリモート演奏の意味などを語り、 初めて音源を披露した。 辛坊氏もアシスタントもそのクオリティの高さに絶句し「感動した」「リモートでこんなのが」「心が洗われる」との声が上がった。

スタジオで披露された東村山音頭を森本氏が「プロ・アマ問わず1万人集めたい」と語ると辛坊氏は、 その数に衝撃を受けながらも「やるんですね」と、 にんまりとする場面も。 更に、 同楽団への様々な活動に対して「日本の文化のため、 素晴らしい音楽のためにたくさんの人に協力してもらいたい」とエールを送った。

全国のテレビ関係者が集まりテレビやラジオメディアの未来に関わる人材育成や就業支援、 大学へのメディア講義などを提供し、 様々な「未来」に資する活動をサポートしている未来のテレビを考える会が展開する「未来の大人活動」の一環として京都フィルハーモニーと二人三脚で始まったリモートハーモニープロジェクト。
京都フィル理事の小林明氏は「クラシック界のみならずエンターテインメント全体でコロナによるダメージは危機的状況です。 そんな中で京都フィルができることは何か?完璧な中での収録ではないのは承知の上ですが、 その分団員とも新しいコミュニケーションも取れました。 リモートで収録してここまでのクオリティになるとは思っていませんでしたが、 みんなを存分に楽しませてくださった志村さんに感謝の思いを込めてメンバーも演奏しました。 年末までになんとか一万人の歌声や演奏を集め、 一つの動画にして発表したいですね。 」と新しい取り組みに手応えも十分の様子。 京都フィルから紡がれた東村山音頭のメロディが、 どんどん広がって1万人の奏でる音が重ね合わせられた時、 新しいクラシックの形が生まれるのはいうまでもない。

現在、 リモートハーモニーwebページにて東村山音頭の音源データ、 楽譜データの配布、 収録マニュアルのアナウンスを行なっている。

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