新型コロナウイルスの緊急経済対策で政府が国民1人当たり10万円を配る「特別定額給付金」を巡り、神奈川県内の自治体が大混乱している。オンライン申請に必要なマイナンバーカードの手続きが急増し、窓口に来庁者が殺到。アクセス集中によるシステム障害が重なり手続き業務を中断するケースも多発し、担当者からは「国に振り回され苦情を受ける市町村は割に合わない」と恨み節が漏れる。
12日にオンライン申請の受け付けを始めた横浜市。戸塚区役所の窓口は、マイナンバーカードの更新や暗証番号の再設定を求める来庁者であふれかえった。
「今日も300人は超えそう。1年で最も忙しい日が何日も続いている」。頭を抱える担当者によると、4月末から1日約350人が訪れる日が続き、3月の最終金曜のピーク時に匹敵する混雑ぶりという。
オンライン申請は専用ウェブサイトで必要事項を入力する仕組み。マイナンバーカードによる本人確認の際に暗証番号の入力を求められるが、暗証番号を忘れるなどした場合は自治体窓口で再設定する必要があり、大型連休前後から来庁者が急増した。
窓口の混乱に輪を掛けたのが、自治体からのアクセス集中による国のシステム障害だ。職員のデータ入力が反映されず、1件当たりの処理時間は通常の2倍ほどに。戸塚区役所でも受け付けから手続き完了まで約1時間半を要し、区は申請を一時預かって後日郵送するなどの対応に追われた。
鶴見区も昼前から手続きを中断。事情を知らず来庁した市民に職員が頭を下げ、後日改めて訪れるよう頼んで回った。すでに受け付けた約100人分の手続きは閉庁後に進めるという。
一方、港北区は即日対応を諦めて後日郵送する対応に変更。担当者は「再開のめどが立たない中、市民にはご理解いただくしかない」。青葉区も申請を預かり、順次対応を進めている。
同様の事例は県内の別の自治体でも相次いだ。