ナ・リーグのDH導入で得をするのはドジャースやカージナルス?

2020年レギュラーシーズンの開幕に向けて、100年以上の歴史を持つ2リーグ制の再編やポストシーズン出場枠の拡大のほか、両リーグでの指名打者制の導入など様々な案が浮上していることが現地メディアによって報じられている。データサイト「FanGraphs」では、ナショナル・リーグにも指名打者制が導入された場合の影響について分析。ナ・リーグのなかではドジャースやカージナルスなど、野手の層が厚いチームにメリットがあると考えられている。

ナ・リーグに指名打者制が導入された場合、もともとレギュラーだった選手が指名打者を務めるのであれば、本来は控えだった選手がレギュラー1人分の出場機会を得ることになる。

たとえば、ドジャースはマックス・マンシーが指名打者を務めると仮定すれば、クリス・テイラー、A・J・ポロック、エンリケ・ヘルナンデス、マット・ビーティといった準レギュラー選手の出場機会が増加することが予想される。彼らは他球団なら十分にレギュラーが務まるレベルの選手であり、指名打者制の導入はドジャースにとってプラスに作用するだろう。

カージナルスはマット・カーペンターが指名打者を務める可能性が高い。その場合、三塁と外野を兼任することが予想されていたトミー・エドマンが三塁のレギュラーとなり、外野でタイラー・オニールやディラン・カールソンの出場機会を確保することもできる。ベテランを指名打者に固定し、有望な若手の出場機会を増やせるため、カージナルスにとってもメリットは大きい。

ほかにも、ロッキーズはダニエル・マーフィーを指名打者に置くことで一塁にライアン・マクマーン、二塁にブレンダン・ロジャースを固定することができるし、レッズはダブついている外野手のうち1人を指名打者に回すことができる。ブリュワーズも一塁転向が濃厚となっていたライアン・ブラウンを指名打者で起用できるようになる。

このように、ナ・リーグの球団にもメリットが大きいように見える指名打者制の導入だが、2リーグ制を再編してアメリカン・リーグの球団と同地区で戦う場合、そのメリットは限定的なものになるという。なぜなら、ア・リーグの球団が指名打者制を考慮してチーム編成を行っているのに対し、ナ・リーグの球団はそうしたチーム編成を行っていないからだ。

ア・リーグにはヨルダン・アルバレス(アストロズ)、J・D・マルティネス(レッドソックス)、ネルソン・クルーズ(ツインズ)など、ほとんど指名打者に固定されているスラッガーが多数存在する。ジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)、大谷翔平(エンゼルス)、ホルヘ・ソレアー(ロイヤルズ)、エドウィン・エンカーナシオン(ホワイトソックス)、フランミル・レイエス(インディアンス)らもこれに該当するだろう。

一方、ナ・リーグにはそのような選手は存在しない。守備に難を抱えるスラッガーがいたとしても、その選手にはレギュラーポジションが与えられており、そのスラッガーを指名打者に回すのであれば、本来は控えだった選手をレギュラーとして起用せざるを得ないのだ。

指名打者制に合ったチーム編成を行っているア・リーグと、そうでないナ・リーグ。2リーグ制の再編によって両リーグのチームが同地区で戦う場合、この点がア・リーグの球団にアドバンテージをもたらすことになりそうだ。

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