カージナルスの大黒柱・モリーナの後継者は誰だ!?

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2000年以降の20年間で負け越したシーズンが1度(2007年)しかなく、ポストシーズン進出13度、リーグ優勝4度、ワールドシリーズ制覇2度と安定した強さを誇っているカージナルス。その強豪チームを正捕手として牽引しているのが2004年途中にメジャーデビューしたヤディアー・モリーナだ。今年7月に38歳の誕生日を迎えるモリーナだが、来季以降の現役続行に意欲を示しており、カージナルスとの契約延長が有力視される。しかし、いずれモリーナにも引退のときはやってくる。そのときモリーナの後継者として正捕手の座を引き継ぐのは誰なのだろうか。

まず、モリーナの偉大さを示すデータを紹介しよう。エリアス・スポーツ・ビューロー社の調査によると、モリーナのメジャーデビュー以降、モリーナが捕手としてスタメン出場した試合でカージナルスは勝率.567、防御率3.69を記録。それ以外の試合の勝率.527、防御率4.11と大差がついている。

5度の打率3割を記録し、2013年にシルバースラッガー賞を受賞するなど、打撃面でもチームに貢献してきたモリーナだが、ゴールドグラブ賞9度、プラチナグラブ賞4度、通算盗塁阻止率40.2%を誇る名捕手の存在は、やはり特に守備面においてチームに大きなプラスをもたらしている。

そのモリーナの後継者として大きな期待を背負っていたのがカーソン・ケリー(1994年生まれ)だ。三塁手としてプロ入りしたケリーだが、2014年から捕手に転向。もともと肩は強かったが、たゆまぬ努力の結果、捕手としての能力が飛躍的に向上し、2017年シーズン開幕前の「MLB Pipeline」のプロスペクト・ランキングで全体39位にランクインするなど、モリーナの後継者と目されるようになった。

ところが、2017年まで総額7500万ドルの5年契約を結んでいたモリーナは、同年4月に3年6000万ドルで2020年まで契約を延長。2016年の時点でメジャーデビューを果たしていたケリーの「モリーナの後継者」としてのキャリアは雲行きが怪しくなった。マイナーでは2割8分台の打率をマークしていたケリーだが、メジャーでは限られた出場機会のなかで打率1割台に終わり、モリーナから出場機会を奪うには至らず。結局、2018年オフにルーク・ウィーバーらとともにポール・ゴールドシュミットとのトレードでダイヤモンドバックスへ放出され、昨年は自己最多の111試合に出場して18本塁打、OPS.826、盗塁阻止率31.9%をマークした。

ケリー放出後のカージナルスで「モリーナの後継者」として1番手の位置にいるのがアンドリュー・キズナー(1995年生まれ)だ。ケリー同様、もともと三塁手だったキズナーは、大学時代に捕手へ転向。安定した守備力と確実性の高い打撃力を武器に、2018年にはAAA級へ到達し、昨年メジャーデビューを果たした。

各媒体のプロスペクト・ランキングでは、ケリーほどの高評価は得られておらず、フレーミングを含めた捕球面での課題が指摘されている。マイナー通算打率.303が示すように、現時点では「打撃優位の捕手」と認識されており、メジャーで正捕手を務めるためには守備力アップが急務となりそうだ。キズナー自身は「ヤディは今の地位にたどり着くまで16年かかった。誰が後を継ぐとしても時間は必要だし、プレッシャーは感じていない」と「モリーナの後継者」に意欲を見せるが、今季限りで3年契約が終了するモリーナの契約延長が成立すれば、ケリー同様にトレードでの放出が現実味を帯びてくる。

モリーナの契約延長が有力視されていることを考えると、「MLB Pipeline」の最新のプロスペクト・ランキングで球団4位のイバン・ヘレーラ(2000年生まれ)や同15位のフリオ・ロドリゲス(1997年生まれ)が現実的な後継者候補と言えるかもしれない。

ロドリゲスがメジャーの正捕手となるためには打撃面でのレベルアップが必要不可欠であり、このままいけばせいぜい「安定した守備力を持つ控え捕手」といったところ。ただし、モリーナもメジャー定着後に打撃力をアップさせてシルバースラッガー賞を受賞するほどの打者となっており、ロドリゲスにもその可能性がないわけではない。

しかし、やはり「モリーナの後継者」の最有力候補はヘレーラだろう。キズナーやロドリゲスと比べて攻守のバランスが取れており、昨季は19歳ながら早くもA+級でプレー。アリゾナ秋季リーグにも参加し、10試合で打率.324をマークしたほか、三振の数(4)を上回る四球(5)を選んだ。打撃面と比較すると、守備面の成長は少し遅れているものの、着実に向上中。このまま期待通りに成長すれば、攻守のバランスが取れた、モリーナとは異なるタイプの正捕手が誕生することになるかもしれない。

「MLB Pipeline」では、ヘレーラのメジャー昇格時期を2022年と予想しており、モリーナが40歳となる2022年までの現役続行を希望していることを考えると、理想的なタイミングとなる。2004年にモリーナが前任者のマイク・マシーニー(カージナルス前監督)から正捕手の座を引き継いだように、2022年にはモリーナからヘレーラへのバトンタッチが行われるかもしれない。なお、カージナルスとマイク・シルト監督の契約は2022年までとなっており、2023年からモリーナ監督のもとでヘレーラが正捕手を務める可能性もありそうだ。