シルバーストン、無観客のイギリスGP開催に向けF1に料金の支払いを要求。議論は膠着状態に

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機が今年のイギリスGPを台無しにするだけではまるで足りないかのように、この目玉となるレースは別の脅威にさらされている。F1とシルバーストン・サーキットが、財政面で膠着状態にあるのだ。

『BBC』の報道によると、F1はシルバーストンで7月17〜19日と24〜26日に連戦を開催する計画を立てているのに対し、シルバーストン側は“不当な要求”をしているのだという。

 伝えられるところでは、今夏にイギリスGPをダブルヘッダーで開催しようというF1に対し、シルバーストンは1500万ポンド(約19億7600万円)の料金を要求しているという。これは通常サーキット側がF1にレース開催権料として支払う金額だ。

 F1はこの2戦に関連するコストのすべてを支払う用意があり、またチケット売り上げとベンダーライセンスを補償するための支払いも提案しているという。

 シルバーストンは厳しい姿勢で交渉を行っていると見られるが、情報筋によると、すでに財政面の要求額を下げているということだ。

「シルバーストンとF1は緊密な対話を相互に行っており、関係当局はイギリスGPを無観客レースとして開催しようとしている」とシルバーストンの広報担当者はコメントしたが、一方のF1側は本件についてのBBCの質問に回答していない。

 先週、F1のCEOを務めるチェイス・キャリーは、現在の危機のなかにある関係者全員を支援すると明言した。しかしキャリーはまた、気前のよい措置がとられることはないことも明確にした。

「それがチーム、主催者、またはスポンサーであれ、我々は全員にキャンディを配るつもりはない」とキャリーは語った。

「我々は公平に扱われることを期待しているが、大人として対処をするつもりだ。そして2021年は4カ月前に我々が認識していたようなビジネスに戻っている事を期待している」

 結果的にキャリーのコメントは、シルバーストンおよび彼らとF1との財政面に関する、現在の行き詰まった関係に対して直接的に向けられたものかもしれない。

 仮に膠着状態が続く場合、F1はイギリスGPを再編成された2020年カレンダーから削除し、ドイツのホッケンハイムが候補地となってダブルヘッダーでのレース開催を申し出るかもしれない。その場合、ドイツでのレースは、オーストリアのレッドブルリンクで行われる開幕戦の直後に開催されることになる。

© 株式会社三栄