検察の“返信”?

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 対立候補の強固な地盤を切り崩そうと多額の現金を配って歩く-伝えられる通りならば、極めて古典的な図式の買収事件だ。「昭和の香りですねえ…。時代は令和なのに」は司法取材を長く担当している同僚の感想▲河井案里参院議員(広島選挙区)陣営の選挙違反問題を巡り、検察当局が、夫で前法相の克行衆院議員を立件する方針を固めた、と昨日の1面トップにあった▲首相の側近として知られ、わずか50日間とはいえ、法務行政のトップにあった人物である。記事を読みながら、ついつい考えたのは、このニュースの計ったようなタイミングの良さだ▲「検察への露骨な政治介入」と批判の声がやまない検察庁法改正案の審議が週明けから国会で始まったばかり。芸能人や著名人によるネット上での「♯抗議します」の沸騰ぶりも話題を呼んだ▲まるで捜査現場から〈検察は大丈夫。トップの人事を押さえられたぐらいで牙を抜かれたりしない〉と“返信”が届いたかのよう。もちろん立件方針が固まったのは慎重かつ厳正な捜査の到達点で、タイミングはたまたま-それ以上でも以下でもないだろうが▲ありもしないメッセージを変に深読みしてしまうあたりが、今回の法改正の不健全さを物語っているように思えてならない。国会審議から目が離せない。(智)