定演延期もリモートで“協演” 長崎東中・高吹奏楽部 星野源「うちで踊ろう」に合わせ演奏

長崎東中・高吹奏楽部がコラボした「うちで踊ろう」の動画

 県立長崎東中・高(長崎市)の吹奏楽部(菅野可奈子部長、63人)は、高校3年の部員17人が休校期間中、シンガー・ソングライター星野源さんの曲「うちで踊ろう」に合わせ、それぞれが自宅で伴奏した動画を組み合わせたコラボレーション動画を制作。5日に動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した。同日は同部の定期演奏会が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で8月に延期に。代わりに、離れた場所での演奏をつなぐ「リモート合奏」で、思い出に残る“協演”を果たした。

♪ 定演に代えて
 同部は県吹奏楽コンクール高校の部で、昨年まで27年連続金賞を受賞。定演に向け2月から練習を重ねてきたが、コロナ禍で4月21日から休校となり、定演も延期された。部員は自宅に楽器を持ち帰ったものの、当面の目標を失っていた。
 菅野部長(高校3年)は「つらかった。演奏会が当然のように開けていた日常のありがたさが分かった」と振り返る。
 そうした状況を見かねた保護者の一人が「『うちで踊ろう』のコラボ動画がはやっているので、リモート合奏をしてみては」と提案した。星野さんは4月、外出自粛を機に同曲の動画を公開し、伴奏やダンスなどのコラボを呼び掛け話題になっていた。「定演に代わる演奏を残したい」と高3の部員の間で動きが広がり、挑戦することになった。

♪ 先生が指揮を
 部員は星野さんのギター弾き語りの動画に合わせ、トランペットやフルートなどの演奏を自宅でそれぞれ撮影。集まった動画を保護者が、一つの画面に演奏者全員が映るように組み合わせて編集した。
 しかし、この取り組みは、同部顧問の中野文大(ふみひろ)教諭(55)には事前に知らされていなかった。中野教諭によると5日朝、部員からのメールでコラボ動画が届き、驚いたという。
 動画の中央には演奏者1人分のスペースが空けられており、「先生が指揮する動画を入れて完成させます」と添え書きがあった。中野教諭は急いで指揮風景を撮影した動画を添付し、返信。完成した動画は、その日のうちに公開された。

♪ 普段着のまま
 完成した動画では、全員が普段着のまま笑顔で合奏。中には、軽快なリズムに合わせてノリノリでダンスをする人も。星野さんの動画も一緒に流れ、夢の“協演”を実現している。
 ドラム担当の田口佳南(かなみ)副部長(同)は「自宅にドラムキットがないので、缶や机をスティックでたたいてリズムを刻んだ」と楽しそう。完成した動画については「微妙にテンポがずれている気がするので、今度はみんな集まって同じ場所で合奏したい」と再挑戦を期した。
 中野教諭は「部員が定演の日を大事にしてくれていたのが、うれしかった」と感慨深げ。同校は11日から分散登校が始まり、同部の活動も個人練習に限り再開された。合奏練習の開始時期は未定だが、菅野部長は「8月の定演に向けて、さらに演奏技術を磨いていきたい」と意欲を語った。

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