黒石市の外国人誘客 厳しくとも前へ

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「官民で協力して、コロナが収束した後に向けて準備をしたい」と話す斉川リーダー

 本年度からの本格的なインバウンド(訪日外国人旅行者)誘客を目指していた青森県黒石市。官民が協力してオーストラリア・シドニーでのPRや受け入れ態勢の整備に取り組んできたが、新型コロナウイルスの感染拡大で訪日客が激減し目算が狂った形となった。市の関係者は「さあ今年からという時のコロナで出はなをくじかれた。収束後、反転攻勢に出られるようにしたい」と話す。

 市は、16年度から3年にわたって宿泊施設や飲食店関係者らを対象としたインバウンド勉強会を開いてきた。19年度からは、八甲田スキー場などで増加傾向にあるオーストラリアのスキー客に注目し、黒石温泉郷に呼び込もうとシドニーに職員を派遣。旅行商談会や各種イベントで黒石市を売り込み、認知度の向上に努めてきた。

 職員の派遣がきっかけとなり、市は昨年12月に現地で開かれた日本文化を発信する催しに初めて参加。はやし演奏グループ「黒石よされ学校」による生演奏や歌に合わせ高樋憲市長や市内の踊り手らが黒石よされを披露し、来訪を呼び掛けた。

 市は昨年8月には、オーストラリア出身者を初めて国際交流員として任用。飲食店メニューの英訳や、会員制交流サイト(SNS)を通じた外国人目線での情報発信などにも取り組んでいる。

 誘客増に向け特に同国とのつながりを深め、今年から本格的な効果が期待されていた中での新型コロナの猛威に、市の西塚啓観光課長は「市と市内事業者が結束して頑張り、今年に期待していた中だった。コロナが憎い」と本音を語る。中止や延期となった本年度のインバウンド関連事業も少なくない。

 市の勉強会をきっかけに誕生した黒石市の民間団体「ノック・ノック・ワールド」は、黒石の名所などを外国人向けに紹介する動画を制作し、動画サイト「ユーチューブ」に投稿するなどしてきたが、今のところ効果を上げられずにいる。

 しかし斉川蘭子リーダーは「収束した先しか見ていない。今の状況だからこそ物事をじっくり考えたり、黒石の良さを再認識できたりもする。官民で協力し(外国人旅行者に)黒石に来てもらえるよう準備をしたい」と前を向く。

 市観光課によると、昨年のインバウンド宿泊者数は2432人と、16年から902人増加している。