政府、雇用調整助成金倍増し従業員直接給付へ

政府は5月14日、新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言の対象地域縮小と新たな対策について発表した。北海道、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県を除く39県で緊急事態措置を解除した。前述の8都道府県は特定警戒都道府県のままとする。日額8330円となっている雇用調整助成金を特別に倍増に近い1万5000円に引き上げ、従業員への直接給付も実施する方向で調整していく。政府系金融機関の劣後ローンを活用した企業の資金繰りも推進していく。

雇用調整助成金については金額の引き上げだけでなく、給付手続きの簡素化も進める。またこれまでは雇用主に支払っていたが、従業員が申請し、受け取ることも可能とする制度設計を行う方針だ。これから編成する今年度第2次補正予算で財源を確保する。

企業の資金繰りについては現在の状況が続いた場合、9~11月には中小企業の36%、大企業も31%が決済に不安があるとされている。民間の関係者も含めた政府の未来投資会議では、日本政策投資銀行など政府系金融機関が通常の返済順位より低い融資である劣後ローンの実施により、民間の金融機関も融資が行いやすくなるのではとの意見も出た。2011年の東日本大震災では実施されたが、政投銀には現在危機対応型の劣後ローンがなく、今後政府で検討を進める。また企業の自己資本増強の手段として、議決権はないが配当を優先的に受け取れる無議決権優先株式の発行も考えられるとした。

基本的対処方針の改定と都道府県知事への通知も行われた。通知では特定警戒都道府県を含めた移動だけでなく、緊急事態措置の対象から外れた県同士をまたいだ移動も慎重に行うよう求めた。また、対象から外れた39県でのイベントは屋内であれば100人以下かつ収容定員の半分以下、屋外は200人以下かつできるだけ人と人との間隔を2mは空けることを求める。

また5月4日に業界団体に作成を求めていた業種別のガイドラインは延べ118団体を対象とした81業種向けが作成された。住宅・不動産関連はなかった。日本経済団体連合会はオフィス向けと製造業向けを作成しており、日本商工会議所を通じ中小企業にも告知される。

新型コロナ対策を担当する西村康稔・経済再生担当大臣は「緊急事態措置が解除された県の間の移動も5月中はやめてほしい」と訴えた。また「大きな感染の波を起こさないよう、感染防止策をしっかりしたうえで、経済活動を引き上げていく必要がある」と語った。

西村担当相は引き続き都道府県をまたいだ移動は、できるだけ行わないよう呼びかけた

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