写真家 レスリー・キーの「Life is Beautiful」最愛のパートナーと“家族”になると決めた愛のプライド

©株式会社amateras

世界的写真家として、主に日本やアジア、ニューヨークでブランド、雑誌、CMなど様々なジャンルで活動するレスリー・キー。作品を通し、愛と勇気と希望を世界中に届けてきた彼が、最愛のパートナーであるジョシュアと出会ったことで世界が変わったと話す。

2019年10月の弊サイト独占インタビューから約半年、前回婚約をした幸せのエピソードを語ってくれたレスリーは、今回ジョシュアがもたらしてくれた「新しい生き方」のメッセージを届けてくれる。
そこには、セクシュアリティ、好きを隠さない大切さ、家族としての愛と、今のレスリーを構成する大切な要素が溢れていた。

――Life is Beautiful
写真家レスリー・キーの二度とない魔法のような瞬間。桜舞い散るなか、そのすべてをお届けします。

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――ゲイだと伝えることで自分をさらけ出すことができた。信じてくれている仲間のために、嘘をつくことを辞めた日

ゲイかなって初めて思ったのは13歳の時。それからはずっと自分の中に隠していて、女性の人と付き合ったり、結婚を考えたこともあったんだ…。
だけど、ニューヨークに行った時、僕の周りのファッションクリエイターにゲイの人たちが多くてね、彼らの姿を見ていたら自分がゲイだってことを受け入れることができたんだ。それが30歳になってからだから、結構時間かかったんだ。

ようやく自分を受け入れることができてカミングアウトしていこうと思った理由は、本来の自分を隠したままでは僕が発信していきたいメッセージに嘘が生まれるし、自分の周りにいる私を大切にしてくれた友人たちに本当の自分を見せないでいたら、自分自身が成長しないって思ったからなんだ。

カミングアウトすることは、簡単だったよ。「自分も、男が好きだよ」って、言葉で伝えるだけ。でも、誰かにカミングアウトすると自分がゲイなんだっていう実感が湧いてきて、それが最初は自分自身の中で慣れなかったのは事実。
だけどね、カミングアウトした周りの友達は嬉しいことにみんな自然に受け入れてくれて、それどころか喜んでくれたんだ。これが本当のレスリーなら、そのレスリーの姿で幸せになってほしいって。

最初はどんな反応が来るのか怖かったんだけど、素直に喜んでくれたことが、僕に何か光をくれた気がしたんだ。今まで見えなかった先の未来が、すーっと光ったようにとても明るく感じたよ。
それで、子供の頃から感じていた恥ずかしさやわだかまり、本当の自分をさらけ出せない苦しみ、隠れる生き方が消えていったんだ。今はすごく自由なんだって、みんなのおかげで感じることができました。

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――最愛のパートナー・ジョシュアが教えてくれる新しい価値観。「ゲイである前に大切な“好き”を隠さないでいること」

2017年に「OUT IN JAPAN」(LGBTのカミングアウト・フォト・プロジェクト)の撮影をしている時、ジョシュアと出会ったんだ。
その後、2019年の2月から付き合うことになったんだけど、彼と付き合うようになってから僕の価値観と彼の価値観の違い、そして、僕自身でさえ気づかなかったアイディンティティ、そして日本とLGBTsの問題と向き合わされることの連続だったんだ。

まず、大変だったことは、部屋を借りること。
僕たちがゲイカップルであることが、日本で部屋を借りるにはとてもハードルが高かったんだ。それに、僕たちは外国人だから、さらに大変だったよ。「結婚しているんですか?」「知り合ったばかりの赤の他人なのに?」って。色々なダメという規制が多かった。だけど、なんとか部屋を借りることができて今は二人でほっと安心して暮らしているよ。

それから、もうひとつ。僕と付き合う条件として、ジョシュアが提示してきたものがあったんだ。それは、どんな場所でも「手をつなごう」だった。
それまで私は男性同士で人前で手をつなぐことなんてしたことがなかったし、20数年東京に住んでいて、そういう光景をほとんど見たことがなかった。だから、どこかで手をつなぐことが恥ずかしいことだって思っていたんだ。

「大丈夫かな…」って僕が戸惑っていると、「なぜ、周りの人の目を気にするの?」ってジョシュアが言ってきたんだ。彼は私に「本当の自分をもっと出しましょうよ」って伝えたかったんだ。
誰かを好きだという気持ちを隠してはいけない。本当に好きなんだったら、手をつないだり、腕を握ったりするべきなんだって。

ゲイだということはカミングアウトしているけれど、それよりももっと大切な、誰かを好きだということを、隠してはいけないっていうこと。

ジョシュアの言葉が心の中にすんなり入ってきて、少しずつ理解をしていったんだ。理解してから行動するまでには勇気が必要だったけど、実際やってみると意外と簡単なことだったよ。
その時はオハイオからパリ、ニューヨークへと海外での暮らしが続いていたんだけど、意識して手をつなぐようになって数週間したら、気が付いたら人の目を気にしなくなっていたんだ。東京に戻ってきてからも変わることはなくて、電車に乗る時や買い物をする時、家で映画を観ている時、いつでも手をつないでいる自分がいるんだ。

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――非現実の美しさから現実の美しさへ。レスリーが捉える美の概念が家族として受ける“愛”で変わる

今まで、自分の中で「これが答え。これが正しい。これでしょ。」っていう決めつけが多かったんだけど、手をつないで歩くようになったように、私とは違う価値観のジョシュアがいてくれることで、世界が常に大きく変わっていくんだ。

一番大きく変わったことは、「家族の愛」を知ったこと。これまで家族について、それほど大切にしていたかというと実はそうでもなかったんだ。

ジョシュアは家族に対してとても愛と責任感を持っているんだ。彼の家族はアメリカ・オハイオ州に住んでいるけど、毎日電話をしているし、私のことも家族の一員としてとても大切に思ってくれているっことを実感するんだ。
彼が僕を家族だと思うようになってくれたことは、生活のいろんなところに現れていて、それは規則正しい生活だったり、料理や、部屋の掃除だったり、当たり前のことだけど今まで僕ができていなかったことを僕のためを思って教えてくれたり、やってくれたりするんだ。

ジュースよりも水を飲むようにしたり、丁寧な歯磨きの仕方だったり、そういう小さなところが僕は全くできていなかったんだよね。今は、隣にジョシュアがいることで家族としての愛を知って、不規則な生活を改めて、部屋もキレイにして食べるものも気を付けて、健康的な生活を送るようにするようになったんだ。そうなると、内面的にも健康になって、今は自分の生活に自信を持つことができるようになったんだよ。

ジョシュアはね、「現実の世界でどれだけ輝くことができるか、どこまで幸せだと感じることができるか」そういうことを考えているんだ。

私は、写真を撮る仕事をしているから、いろんなタイプの作品を撮っているけれど、その多くは写真というフィルターを通して非現実的なファンタジーの世界を作っているんだ。出来上がった作品たちは、寂しがり屋でだらしがない私の言い訳になってくれて、不安や孤独から守ってくれていたんだけど、今、私の興味はそこから遥かに明確に、現実的になってきているんだ。止まっていた世界が動き出したかのように。

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――日本の現状とLGBTsへの希望を語るレスリーとジョシュア。誰よりも日本を愛する二人だからこそ、見える未来とは?

ジョシュア/日本はLGBTsへの理解について、アメリカでもヨーロッパでもない独自のアイデンティティを持つべきだと思う。日本人にはお互いのことを尊重する文化があるよね。それは他の国には未だにない素晴らしいことなんだよ。
世界中の人たちは、日本の「おもてなし」が大好きです。おもてなしには差別がない。だから、日本はどの国よりもLGBTsフレンドリーな国になれるはずなんだ。

レスリー/私はお堅いサラリーマンや年配の人たちにとって、LGBTsは受け入れられないものと思っていたんだ。だけど、オネエやドラァグクイーンのようなエンターテイナーばかりではなく、ゲイやレズビアンだったり、僕たちみたいな見た目が派手ではない人たちがメディアに出てくることによって、どんどん変わっていくと思うんだよね。

ある時ね、京都で乗ったタクシーに「LGBTsフレンドリー」って書いてあったんだ。国や法律、社会すべてがLGBTsのことを認めて、ようやく差別がなくなって受け入れられるよね。それはまだ先のこと、いやすぐ近い明日かもしれないけれど、一歩ずつ、こういう個の力を国民たちが少しずつ持っていけば、日本の未来はすぐに満たされるよね。

そして、「人生は美しい」ってことを知ってほしい。
短い人生の中でもすごくたくさんのものに出会えることができる。
1日24時間は世界みんな平等に与えられ、教育や性別、家族関係に限らず、みんな同じ時間を生きる。その時間をどう生きるかはみんなそれぞれに任されている。その任されたあなたの人生はあなたが好きなように描けばいいだけなんだ。
写真はその瞬間を切り取るから、二度とない魔法のような瞬間を撮って記録するけれど、人生もまさにそうなんだ。
すべての一瞬一瞬の輝きからできている。だからそれを大切に、自分らしく生きてほしいと思っています。

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レスリー・キー
シンガポール出身の世界的写真家。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。浜崎あゆみやレディー・ガガ、松任谷由実、安室奈美恵など多数の芸能人を撮影したことなどで知られる写真家で、アート、ファッション、ドキュメンタリー、広告、CDジャケット、PV映像監督などの撮影を中心に日本・ニューヨーク・アジア圏で活躍。

ジョシュア・ビンセント・オグ
1988年生まれ、アメリカ・オハイオ州出身。日本でのインターンシップを経験後、2018年にアメリカの大学を卒業。現在は日本で日本語を学びながら英語講師として勤務する傍ら、アート・ファッションモデルとしても活躍。

Joshua&Leslie@Joshualeslieoggkee
Leslie Kee@lesliekeesuper
Joshua Vincent Ogg@joshuavincentogg

取材・写真/新井雄大
編集/村上ひろし
記事制作/newTOKYO

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