INOVIOのINO-5401とPD-1阻害薬Libtayo(R)(セミプリマブ)の併用で、新たに診断された多形膠芽腫患者の85%が治療後12カ月生存

AsiaNet 84032 (0757)

【プリマスミーティング(米ペンシルベニア州)2020年5月14日PR Newswire=共同通信JBN】
*結果は2020年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表の予定

INOVIO(NASDAQ:INO)は14日、致死性の高い脳腫瘍である多形膠芽腫(GBM)と新たに診断された患者に、同社のDNA医薬品INO-5401をINO-9012とPD-1阻害薬Libtayo(R)(セミプリマブ)と併用投与した結果、85%(52人中44人)が治療後少なくとも12カ月以上生存していた(12カ月の全生存率:OS12)と発表した。これらのデータは、2020年5月29−31日のASCO 2020バーチャル・サイエンティフィック・プログラムにおける口頭ポスタープレゼンテーションで紹介される。

GBMは最も一般的で攻撃的なタイプの脳腫瘍である。現在、放射線療法と化学療法(テモゾロミド:TMZ)を含む標準治療による全生存期間の中央値は約15−22カ月である。

第1/2相臨床試験では、MGMT遺伝子プロモーター・非メチル化腫瘍患者の84.4%(32人中27人)、MGMT遺伝子プロモーター・メチル化腫瘍患者の85%(20人中17人)の12カ月生存が示された。この有望な臨床結果は、ヒトテロメラーゼ(hTERT)、Wilms Tumor-1(WT-1)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)というINO-5401の3つのがん抗原全てに対する強力な免疫反応も伴っている。GBM腫瘍で一般的に発現するこれらのがん抗原に対する細胞傷害性T細胞の活性化は、これまで検査した全患者で検出され、INOVIOのDNA医薬品の免疫原性をサポートし続けている。重要なのは、INO-5401 + INO-9012が、放射線とTMZだけでなく、Regeneron(リジェネロン)とSanofi(サノフィ)が共同開発中のPD-1阻害薬Libtayoと併用した場合でも、安全かつ忍容性が高かったことである。これらの結果は、2020年ASCO年次総会(Abstract#2514)期間中、バーチャル形式で発表される。

ダナ・ファーバーがん研究所神経腫瘍センターの臨床部長でGBM-001の治験調整責任者を務めるデービッド・リアドン博士は「これらのデータは暫定的なもので、経過観察はまだ初期段階だが、がん抗原特異的T細胞生成DNA医薬品とPD-1阻害薬という新たな組み合わせは刺激的であり、GBM患者にとって次善策であることが証明済みの20年以上にわたる標準治療を超える可能性がある。INO-5401とINO-9012にセミプリマブを併用することでもたらされるような新規作用機序を活用した忍容性の高い新たな医薬品の組み合わせは、放射線療法や化学療法といった標準治療への忍容性やGBM-001試験で見られたような免疫原性を示現している場合は特に、難治性脳腫瘍にとって非常に歓迎すべき治療法だ」と語った。

INOVIOの社長兼最高経営責任者(CEO)であるJ・ジョセフ・キム博士は「これらのデータが初期段階のものであることは認識しているが、強力な免疫原性と生存期間延長の可能性に加え、標準治療だけでなく、チェックポイント阻害薬Libtayoとも併用可能という効能が明確になったことが非常にうれしい。GBMにチェックポイント阻害薬を単剤使用してうまくいかなかった人が、Libtayoや標準治療と当社のDNA医薬品を併用することで、明確な免疫原性と全生存期間延長の可能性があることが示されたのだ」と語った。

INOVIOは過去の発表で、患者52人の臨床試験の主要な中間データを報告、MGMT遺伝子プロモーター・メチル化患者の80%(20人中16人)、非メチル化患者の75%(32人中24人)が初回投与から6カ月の時点で無増悪(PFS6)となり、過去の標準治療データを上回った。

今回のPD-1チェックポイント阻害薬と免疫療法の組み合わせでは、さらなる安全性、忍容性、免疫原性データも出ており、LibtayoやINOVIOのプラットフォーム技術の安全性プロファイルと整合性のある許容可能な安全性プロファイルが示された。試験に参加した患者の大多数が、INO-5401によってコードされた1つ以上の腫瘍関連抗原にT細胞免疫反応を示した。今回の試験では、3つの腫瘍関連抗原全てに対し免疫反応が示現した。INOVIOは今年後半に、18カ月の全生存データを報告する予定。

研究デザイン

今回の試験は、新たに診断された多形膠芽腫(GBM)の被験者を対象に、放射線療法と化学療法を併用し、Libtayoと併用投与したINO-5401とINO-9012の安全性、免疫原性、予備的有効性を評価すべくデザインされた。これは、評価可能な52人のGBM患者を対象に実施された、非盲検・多施設・第1/2相臨床試験である。この試験には2つのコホートがある。コホートAは、非メチル化O6メチルグアニン・デオキシリボ核酸(DNA)メチルトランスフェラーゼ(MGMT)遺伝子プロモーターを有する腫瘍のある32人の参加者。コホートBは、メチル化MGMT遺伝子プロモーターを有する腫瘍のある20人の参加者である。両コホートは同じ用量と同じ投与スケジュールでINO-5401、INO-9012、Libtayoを投与され、両コホートとも放射線とテモゾロミド(TMZ)治療を受けた。今回およびがん免疫学会(SITC)で示された中間データは2019年10月時点で得られたもので、18カ月の全生存データの発表は2020年第4四半期の予定。臨床研究の詳細については、www.clinicaltrials.gov 識別子NCT03491683を参照。

ポスターの詳細

概略/ポスター 2514
ポスターディスカッションセッション:中枢神経系腫瘍 ASCO 2020バーチャル・サイエンティフィック・プログラムは5月29−31日に開催される。

▽多形膠芽腫(GBM)について
GBMは、最も一般的かつ攻撃的なタイプの脳腫瘍で、患者、介護者双方にとって依然として悲惨な疾患である。過去10年間に限られた数の新規治療法が承認されたものの、その予後は極めて悪い。標準治療を受けている患者の全生存期間の中央値は約15-22カ月で、無増悪生存期間の中央値は約7カ月である。米国におけるGBMの推定年間発生件数は1万1362例、すなわち10万人当たり3.21例で、診断年齢中央値は65歳である。

▽INO-5401およびINO-9012について
INO-5401は、INOVIOのhTERT、WT1、PSMA用SynCon(R)抗原をコードし、チェックポイント阻害薬との併用で強力ながん免疫治療薬になる可能性がある。国立がん研究所は既に、重要ながん抗原リストの中でhTERT、WT1、PSMAを強調、がん免疫療法開発にとって優先順位の高い抗原に指定している。これら3つの抗原は、様々なヒトのがんにおいて過剰発現され、しばしば突然変異することが知られており、これらの抗原を標的とすることでがん患者の治療における有効性が証明される可能性がある。INO-9012は、T細胞免疫活性化因子であるIL-12をコードする。

▽INOVIOのDNA医薬品プラットフォームについて
INOVIOには現在、ヒトパピローマウイルス(HPV)関連疾患、がん、さらに感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)の助成金を得た中東呼吸器症候群(MERS)およびCOVID-19疾患関連のコロナウイルスを含む感染症に焦点を当てた15のDNA医薬品開発臨床プログラムがある。DNA医薬品は、コンピューターシーケンス技術によって合成または再編成され、体内で特定の免疫反応を発現させるよう設計された小さな環状の2本鎖構造である、最適化されたDNAプラスミドから構成されている。

INOVIOのDNA医薬品は、CELLECTRA(R)と呼ばれるINOVIO独自の携帯スマートデバイスを使用して、最適化されたプラスミドを筋肉注射または皮内注射で細胞に直接送達する。CELLECTRAデバイスは、短い電気パルスを使い、細胞内に小さな孔を可逆的に開けてプラスミドの侵入を可能にしており、他のDNAや、mRNAなどその他の核酸アプローチの大きな制約を克服した。細胞内に入ったDNAプラスミドは、細胞が目的とする抗原を産生できるようにする。抗原は細胞内で自然に処理され、望ましいT細胞と抗体を介した免疫反応をもたらす。CELLECTRAデバイスで投与することで、DNA医薬品が体の細胞に効率的に直接送達され、そこで直ちに免疫反応を引き起こしにかかることが可能になる。INOVIOのDNA医薬品は、個人のDNAをいかなる方法でも妨害したり、改変したりすることはない。INOVIOのDNA医薬品プラットフォームの利点は、DNA医薬品の生成と製造の速さ、保管、輸送中の凍結を必要としない製品の安定性、臨床試験で実証されてきた持続性のある免疫反応、安全性プロファイル、忍容性である。

2000人以上の患者が様々な臨床試験において6000以上の適用でINOVIOの治験DNA医薬品を投与されており、INOVIOには緊急の世界的健康ニーズを満たすDNA医薬品候補を迅速に生み出してきた優れた実績がある。

▽INOVIOについて
INOVIOは、感染症、がん、HPV関連疾患を患う人を守り、治療するための精密設計DNA医薬品の迅速な市場投入に重点的に取り組むバイオテクノロジー企業である。INOVIOは、独自のスマートデバイスを介して体内の細胞にDNA医薬品を直接送達し、強力かつ忍容性の高い免疫反応を発現させることができることを臨床的に実証した最初で唯一の企業である。具体的には、前がん性子宮頚部異形成に対する第3相試験が現在行われているINOVIOの主力候補薬VGX-3100は、第2b相臨床試験で高リスクのHPV16型、18型を死滅させ、除去した。高リスクHPVは、子宮頸がんの70%、肛門がんの90%、外陰がんの69%の原因となっている。HPV関連がん、希少HPV関連疾患である再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)、非HPV関連がんである多形膠芽腫(GBM)や前立腺がんを対象とするプログラムも開発中で、外部資金によるジカ、ラッサ熱、エボラ、HIV、MERS関連コロナウイルスおよびCOVID-19疾患の感染症DNAワクチン開発プログラムもある。パートナーおよび協力者には、Advaccine、ApolloBio Corporation、アストラゼネカ、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)、米国防高等研究計画局(DARPA)/米国防総省(DOD)、GeneOne Life Science/VGXI、HIV Vaccines Trial Network、国際ワクチン研究所(IVI)、Medical CBRN Defense Consortium(MCDC)、国立がん研究所、国立衛生研究所、国立アレルギー・感染症研究所、Ology Bioservices、パーカーがん免疫療法研究所、Plumbline Life Sciences、Regeneron(リジェネロン)、Richter-Helm BioLogics、Roche/Genentech(ロシュ/ジェネンテック)、ペンシルベニア大学、ウォルター・リード陸軍研究所、ウィスター研究所が含まれている。INOVIOは、取締役会に20%以上の女性がいる企業を顕彰する「2020 Women on Boards」の 「W」称号も授与されている。詳細については、www.inovio.com を参照。

▽問い合わせ先
メディア向け
Jeff Richardson
267-440-4211
jrichardson@inovio.com

投資家向け
Ben Matone
484-362-0076
ben.matone@inovio.com

ソース:INOVIO Pharmaceuticals, Inc.