【解説】長崎県高総体 初の中止 「安全安心」保証できず

 県高校総合体育大会(県高総体)と全国高校定時制通信制体育大会県予選が14日、中止になった。県高体連は新型コロナウイルスの収束が見えない中で「参加者の安全安心を保証できない」という結論に至った。
 中止の主な理由は▽競技の特性や移動などで3密を防げない▽分散登校などで部活動が満足にできない中で、けがや熱中症の発生が懸念される▽学校行事や3年生の就職進学などを考慮して延期は困難-の3点。「何とかやりたい」という思いよりも「命を守る」に重きを置いた。
 県高総体は昨年、88校から約1万1千人が出場した県内高校スポーツ最大の祭典。今年は6月5日開幕の予定だったが、4月16日に緊急事態宣言対象地域が全都道府県に拡大され、県立学校などが臨時休校に。県高体連は4月21日、総合開会式の中止を決めた。
 その後、4月26日に全国高校総体(インターハイ)の中止が決定。県高体連は県高総体の開催可否について5月中旬まで判断を保留して、ぎりぎりまで無観客や規模縮小などを含めた検討を進めたが、打開策を見いだせなかった。3密が少ない一部競技開催案も、公平性などを考慮して不採用。九州でも熊本、宮崎、佐賀、福岡、鹿児島と続いた中止の流れは止まらなかった。
 長崎を含む39県で緊急事態宣言が解除されるなど、6月開催への期待が高まる中での中止決定。部活動の集大成の場を失った多くの3年生からは悲痛な声が漏れた。そんな選手たちの努力を、どういう形で受け止め、区切りをつけてもらうことができるか。学校だけに一任せずに、県や県高体連、競技団体すべてが知恵を絞り、代替大会開催をはじめ、高校生の「何とか…」という思いに応える努力が求められる。

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