路上生活コロナ禍で追い打ち…居場所なくなり、収入減 支援者「貧困は個人の責任ではない」

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京都で路上生活をする人たちについて語る本田さん(京都市南区)

 新型コロナウイルスの感染を防ぐため行政は外出の自粛を求めているが、家がなく野宿を余儀なくされたり、休業要請の対象になったインターネットカフェや漫画喫茶で事実上暮らしていた人たちがいる。その人たちの生活は今、どうなっているのか。京都市中心部の駅や繁華街、河川敷で路上生活者の支援を続ける「きょうと夜まわりの会」の本田次男さん(65)に聞いた。

 ―路上生活者の背景と、緊急事態宣言拡大による環境の変化は。
 「僕らが顔見知りなのは40~70代の男女約40人。日雇い労働や不安定な状況で働いていた時にたまたま病気をしたり、あるいは高齢になり、何の保障も受けられないまま会社の寮を追い出されるなどした人たちだ。環境の変化は主に三つある。第一に、ショッピングセンターや百貨店、地下街が全面休業し、昼と夜の居場所がなくなった。密集を避けるとの理由でベンチを撤去する動きもあり、路上生活している人にはつらい状況。第二に、多くの店が休業したことで賞味期限切れ寸前のお弁当や食べ物を受け取りにくくなっていると聞く。第三に、収入の減少だ。アルミ缶の回収で収入を得ている人もいるが、経済の停滞が影響しているのか、単価が落ちているようだ」

 ―府内でのネットカフェや漫画喫茶休業の影響は。
 「東京や大阪では支援団体が行政から委託を受けて(ネットカフェなどで事実上暮らしている人の)調査が行われているのに対し、京都では調査が行われていない。そのため人数や実態は不明だ。路上にいる人が急増したという印象はないが、京都でもネットカフェ休業に伴って街頭に出てきたと話す50代男性がいる。24時間営業のファストフード店で夜を過ごしていた人もいた。テークアウトのみに切り替わったので、その影響も心配だ」

 ―会の活動に変化は。
 「夜回りは以前と同じように週2日行っている。体調を尋ねたり、行政の福祉的施策を紹介したり、必要に応じて備蓄のマスクを渡したり。一方で、月1回の炊き出しでは『3密』を避けるため食事後は直ちに解散するようにした。炊き出しを休止している団体もあると聞く」

 ―今後、失職や廃業に伴い、住まいを失う人が増える恐れが指摘されている。
 「誰もが新型コロナウイルスに感染したり、収入が途絶えて生活苦に陥ったりする可能性がある。これまで路上生活者の人は『怖い』『異質だ』とのイメージを持たれがちだったが、これを機に、路上生活者の人たちも私たちと同じ人間で、貧困は決して個人の責任ではないという認識が広まってほしい」

 「京都市は(住居を失った人に居室を一時的に提供するため)旅館と契約しているが、基本的に個室ではなく相部屋だ。いわば感染拡大の恐れがある密な状態。市には『住まいがあるだけまし』との発想があるのかもしれないが、考えを見直すべきだ。憲法25条が定めるように、人は誰もが健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある」