地域の味をスーパーで 飲食店の持ち帰り販売支援 ジョイフルサンやエレナ 販売スペース提供

四川菜Rinrinの持ち帰り総菜を選ぶ買い物客=長崎市、ジョイフルサン江川本店

 地域の味をスーパーで-。新型コロナウイルス禍での外出自粛を受け、持ち帰り販売に取り組む飲食店が増える中、同じ地区で営業するスーパーが飲食店向けに販売スペースを提供し、支援する動きが広がっている。「ご近所一体で難局を乗り切ろう」との思いから始まった試み。「店を知ってもらえた」と飲食店側にも好評だ。
 長崎市のジョイフルサン江川本店(山口正秀店長)食品売り場の一角。午後4時、同市野母町の中華料理店「四川菜Rinrin」のスタッフがマーボー豆腐やチャーハンなどをテーブルに並べると、主婦らが次々に買い求めた。オーナーの林圭一郎さん(35)は「(店がある)野母崎までは車で20~30分。配達もしていないし助かる」と話す。同市平瀬町の居酒屋「かい千」を夫婦で切り盛りする大橋亜希子さん(43)も唐揚げなど一品料理を販売。「新たな出会いがあってリピーターが増えた」と笑顔を見せた。
 出店を呼び掛けたのは、山口店長と、同市南部地区の情報を発信するフリーペーパー「はじっこ」を発行している武次亮さん(37)。「食材を買うついでに、生活圏にある人気店の味を楽しんでもらいたい」との思いが一致した形だ。南部地区で持ち帰り販売に対応している店に声を掛け、4月22日に始めた。現在は3店舗が出店。休館している同市伊王島町1丁目のリゾート施設「アイランドナガサキ」の土産物も販売している。
 こうした取り組みは6月28日まで続ける予定。山口店長は「それぞれの店が通常営業に戻れたらそれでいいし、希望があれば夏以降の継続も考えたい」と話す。
 地場スーパー大手エレナ(佐世保市)も、「エレナ」と「なかよし村」の県内外計25店舗の店頭を、出店スペースとして6月末まで飲食店に提供する。今月11日に募集を始め、15日には早速、長崎市のエレナ三和店でイタリアン・スペイン料理店が弁当を販売した。エレナは「休業している飲食店から相談があり、少しでも力になりたいと考えた」としている。

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