デジタル教材、教員制作教材配信、双方向…休校中の学び、試行錯誤

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「FMたんと」で放送する中学生向け英語番組を収録するALTら(荒尾市提供)

 新型コロナウイルスの感染を防ぐ臨時休校を続けてきた熊本県内の小中高校は、6月1日に学校を再開する見通しとなった。熊本日日新聞は県内14市の教育委員会と県教委を対象に、3カ月近くに及ぶ休校中の学習指導について電話調査を実施。学びの機会を確保するための対応策や、感染拡大の第2波を想定して克服すべき課題が浮かび上がった。

 休校中の家庭学習は(1)教科書やプリント(2)テレビ放送(3)既存のデジタル教材(4)市教委もしくは教員が制作した教材配信(5)同時双方向型のオンライン学習(6)その他-の6項目に分け、活用の有無を聞いた(複数回答可)。(1)~(3)は全14市教委が実施したものの、(4)は8教委、(5)は2教委の実施にとどまった。

 荒尾市教委は隣接する大牟田市のコミュニティーFM局「FMたんと」と協力し、ALT(外国語指導助手)らが中学生向けの英語番組を放送。宇城市教委は市内の全中学生約1500人に1台ずつタブレット端末を配布し、大手通信教育会社の電子ドリルで学習を進めた。

 学習意欲を保つ工夫として天草高は、教員が自作した解説動画のQRコードを付けて課題プリントを配布。天草拓心高はビデオ会議アプリによる授業と、ネット上での小テストを組み合わせた。

 しかし、インターネットを使った家庭学習には課題も多い。

 教員らがネット上で教科書を使う場合は、感染拡大を受けた4月末の著作権法改正で著作権者の許諾が不要になった。ただ、公開の対象はパスワードが与えられた児童生徒ら限定。市町村教委は対象外のため、学校単位での対応を余儀なくされた。

 家庭のインターネット環境の不備や、学校が貸与できる端末の不足も課題だ。14市教委のうち、児童生徒のネット環境調査を終えたのは熊本市のみ。調査の8~9割を終えている阿蘇市と菊池市の途中集計では、ネット環境が整っている家庭はいずれも7~8割ほどにとどまるという。

 国は、1台につき最大4万5千円を補助し、本年度中に小中学生が端末を1人1台使える環境整備を目指している。ただ、購入への不安の声も多い。

 合志市教委は「費用は1台8万円ほどと見込んでおり、差額が大きい」と回答。「企業のテレワークが進み、全国的に端末の需要が急増している。本年度中の調達は難しいのではないか」(宇土市)「搭載するソフトやセキュリティーの費用もかかる。数年後の更新費用も考えておく必要がある」(人吉市)など、切実な意見もあった。(植山茂、澤本麻里子)