20年ぶり、名物食パンを復刻販売 菓子製造のアンデルセンスエヒロ 兵庫・三木

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約20年ぶりに生食パンとしてよみがえった角食(左)と山食=アンデルセンスエヒロ

 かつてパン店を営んでいた菓子製造販売の「アンデルセンスエヒロ」(兵庫県三木市緑が丘町中1)が約20年ぶりに食パンの販売を始めた。三木市民に親しまれた「角食」と「山食」を生食パンとしてリニューアルし、往年のファンの心をつかんでいる。(大橋凜太郎)

 1973年創業で、パン店は同市と神戸市に最大で10店舗を構えた。神戸電鉄三木駅や三木上の丸駅、志染駅の前などに設けた各店舗には1日600人以上が訪れる盛況ぶりだった。

 約20年前に作ったマロンパイが評判を呼んだのが転機となった。小売りより製造に力を入れ、工場機能を向上させた。15年ほど前には洋菓子店としてリニューアル。主力の「神戸マロン」は全国の百貨店やスーパーで販売されている。

 一度は完全にパンの生産をやめたが、再開したい思いが募った。高級食パンの需要が高いことも後押しし復刻を決めた。新型コロナウイルス感染症による外出自粛を考慮した宅配サービスも視野に入れ、工場を改装して臨んだ。

 かつてのパン作りのノウハウを生かしつつ、新たな仕込み方法も取り入れた。小麦粉を熱して一晩寝かせる「湯種製法」で、もっちりとした食感を実現。材料は国産にこだわり、末廣隆信社長(71)が「昔作ったパンよりうまい」と胸を張るほどに完成度を高めた。

 10日の発売と同時に三木市緑が丘町中1の「シェルブール本店」を訪れた40代女性は「三木市民の体の半分はアンデルセンでできている。香りだけで懐かしい記憶がよみがえってきた」と声を弾ませる。

 末廣社長は「われわれ以上にお客さんがパンのことを覚えている」とほほ笑み、「パンへの愛情は衰えておらず、作っていて楽しい。昔親しんでくれた世代に食べてもらいたい」と話した。2斤で820円(税込み)。本店と道の駅みきで販売する。