「新潟いのちの電話」に切迫した声 解雇やDV、ウイルス関連の相談急増

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多くの相談が寄せられる「新潟いのちの電話」。新型コロナウイルス関連の悩みも増えているという=新潟市中央区

 孤独感や不安などさまざまな悩み相談に電話で応じる「新潟いのちの電話」に、新型コロナウイルス関連の相談が増えている。4月は相談全体の2割以上を新型ウイルス関連が占め、「解雇された」「ドメスティックバイオレンス(DV)を受けた」など切迫した内容が相次いだ。相談員は、新型ウイルスの影響で「3密」回避の取り組みが不可欠となり、本来の24時間対応を変更せざるを得なくなっているものの、試行錯誤しながら、窮状を訴える新潟県民らに寄り添い続けている。

 「仕事を解雇されてうつになった」「イライラした夫からDVを受けた」「新型ウイルスの検査を受けることになったが、心配でたまらない」。相談内容は多岐にわたる。相談員2人が電話を受けるが、ひっきりなしに着信がある状態だ。

 新型ウイルスに関する相談は2月末から増え始め、3月は相談全体の約1400件のうち100件超、4月は約1300件のうち300件超になった。

 「新潟いのちの電話」は1984年に始まったボランティアによる電話相談。相談員が24時間待機し、相談員と相談する市民の双方が匿名のままでいいのが特色で、日々多くの相談が寄せられている。

 事務局長の村山美和さん(54)は「平時は漠然とした不安を語る人が多いが、最近は具体的で差し迫った内容が増えた。新型ウイルスが多くの人を苦しめている証しだろう」と説明。電話回線の数に限りがあるため、「相談件数はあくまで通話できた数。潜在的な需要はもっと多い」とみる。

 実際、毎月10日に全国のいのちの電話が一斉で行うフリーダイヤルでの相談は、通常は5千件ほどの発信があるが、この5月10日は1万件を超えたという。

 新型ウイルスは、活動を続ける上でも大きな障害になっている。

 いのちの電話は「24時間365日、悩みに寄り添うのが理念」(村山さん)。夜間は相談員が交代しながら仮眠を取り、相談を続けてきた。

 ただ、感染拡大後は、相談員が詰めている部屋の机の配置を横並びに変更し、仮眠室の使用も4月中旬からは禁止とした。さらに午前0~7時の相談を休止している。「夜間は深く悩んで電話をかける人も多いだけに、苦渋の判断」と村山さんは言う。

 関東などを拠点とするいのちの電話は一部が休止中といい、対面方式で相談に応じていた自殺対策団体の中には活動を中止しているところもある。

 「新潟いのちの電話」理事長の及川紀久雄さん(79)は「他県からとみられる相談電話も入る。活動の重要性が増している」と語る。14日に本県を含む39県で緊急事態宣言が解除された中、及川さんは「世の中が動き出せば、かえって疎外感や焦りが強くなって相談者も多くなるだろう。今後もしっかりと、苦しむ人の心情をくみ取り続けたい」と話した。