福井市の東南にある中世最大の遺跡『一乗谷朝倉氏遺跡』。
日本のポンペイとも呼ばれており、歴史的価値のある品が出土したり、国の特別名勝に指定された庭園があったりする遺跡です。
現在放送中の大河ドラマ『麒麟が来る』で、朝倉義景や明智光秀たちがいるのはこの一乗谷です!
この記事では、一乗谷朝倉氏遺跡の歴史や見どころを詳しく解説します!
何がすごいの?一乗谷朝倉氏遺跡
一乗谷朝倉氏遺跡とは、福井市のやや東側にある遺跡で、戦国時代の城下町、館跡、背後の山城を含めた遺跡のことです。
現在は忠実に復原された武家屋敷や日本最古の花壇、寺院など、歴史を感じられる風景を見ることができます。
「福井県の観光地、どこがおすすめ?」と聞かれても、なかなかここの名前は出てこない、ややニッチな観光地『一乗谷朝倉氏遺跡』。
最近は大河ドラマの影響もあり、以前よりも認知度・人気共に高まってきていますが、そうでなくても一乗谷朝倉氏遺跡はもともと本当にすごい場所なんです!
一乗谷朝倉氏遺跡は日本有数の貴重なスポット
一乗谷朝倉氏遺跡は、以下の3つの指定、いわゆる三重指定を受けている場所です。
- 遺跡全体が国の特別史跡
- 敷地内にある4つの庭園は国の特別名勝
- 出土品は国指定重要文化財
これら3つの指定を受けているのは、全国でも数少なく、金閣寺や銀閣寺といった有名な場所ばかりなんです。
一乗谷朝倉氏遺跡の歴史
一乗谷は、戦国時代初期には全国でも有数の戦国大名であった、越前朝倉氏の本拠地でした。
越前朝倉氏は、南北朝時代(1336〜92年)に足利氏の一族である斯波(しば)氏に仕えた朝倉広景から始まっていて、その時代にはすでに一乗谷を本拠にしていたという説もあります。
(朝倉広景が初代、大河ドラマでユースケサンタマリアさんが演じているのは、11代・朝倉義景です)
文明年間(1469〜87年)には重臣が一乗谷に住むようになり、応仁の乱(1467〜78年)で荒廃した京都から、公家、高僧、学者たちも大勢避難してきていたため、一乗谷はこの時期に一気に発展し、京文化がも伝わっていたそうです。
最盛期の人口は、1万人以上だったとも言われています。
しかし1573年、朝倉義景は刀禰坂の戦いに敗れ、一乗谷を放棄します。
その翌日、一乗谷は信長の軍勢によって火を放たれ、三日三晩燃え続けたと言われています。
その後、柴田勝家が越前八郡を与えられ、本拠を北ノ庄(現在の福井市、福井駅近く)に構えたため、一乗谷は辺境となり、この地は以降400年近く田畑の下に埋もれていたのです。
しかし1930年(昭和5年)、地上に現れていた庭園が国の名勝に指定され、1967年(昭和42年)に庭園の調査・整備が始まった頃から発掘調査が徐々に進んでいきました。
街が燃えてなくなり、以降長い間土の下に埋もれ、その後発掘されたという点が、まさに『日本のポンペイ』と言われる所以なのです。
一乗谷朝倉氏遺跡の見どころをちょっとだけ紹介!
一乗谷朝倉氏遺跡全体の広さは、278ha、東京ドームに換算するとなんと約60個分!
メインの朝倉館跡周辺のみであればそこまで広くはないですが、それでもたくさんの見どころがあります。
また、見どころの多くが庭園や屋敷"跡"などであるため、気づかないまま素通りしてしまうことも…。
いつか行ってみたい!という方は、こちらで見どころをちょっとだけご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
唐門
唐門は朝倉館跡の入り口にある、幅2.3mの唐破風造り屋根の門で、門表には朝倉家の三ッ木瓜の紋が刻まれています。
ただしこれは朝倉氏の遺構ではなく、朝倉義景の菩提を弔うために松雲院の寺門を移築したものだそうです。
四季折々の景色が楽しめるため、一乗谷朝倉氏遺跡で最も人気のある写真スポットとなっています。
朝倉館跡
唐門をくぐった正面にある朝倉館跡は、その名の通り、朝倉家の当主が住んでいた館の跡です。
全国で唯一、発掘整備された戦国大名の館跡であると言われています。
後ろは山城、西、南、北側は高さ1.2〜3mほどの土塁になっていて、幅約8m、深さ約3mの堀で囲まれています。
信長の軍勢によって火を放たれてしまったため、現在は館の基礎が残っているだけですが、鬼瓦や棟石等も発掘されているそうです。
朝倉館跡の平らな部分は約6,400㎡もあり、かつては17棟の建築物があったそうです。
現在は、基礎の部分に『常御殿』『主殿』『湯殿』などと案内が書いてあり、当時何に使われているたのかを知ることができます。
間取り図を見ているみたいで楽しいですよ!
庭園
遺跡内にある4つの庭園は、全て国の特別名勝に指定されています。
長い間地中に埋まっていた場所なので、豪華絢爛な庭園、という風には見えませんが、しっかりとその跡が残っています。
こちらの湯殿跡庭園は、16世紀初頭、10代目朝倉孝景の時代に造られたといわれていて、4つの庭園の中では最も古いものです。
1930(昭和5)年には国の名勝に指定されていたにもかかわらず、管理が不十分で長い間荒廃しており、整備が行われ始めたのは1967(昭和42)年のことでした。
芸術家の故岡本太郎氏は、この庭園に感動し、長い時間鑑賞していたそうです。
城下町
かつて城下町があった場所は、長年の発掘結果や史料等を参考に、当時の町並みが200mに渡って復原されています。
なんと、日本初の原寸大の立体模型なんだそうです。
侍屋敷や町屋の内部も細かく再現されているので、歩いて回るととっても楽しいですよ!
一乗谷朝倉氏遺跡には、まだまだ見どころがたくさん!
大河ドラマに登場する義景ゆかりのスポットもいろいろありますよ!
以下の記事では、一乗谷朝倉氏遺跡の見どころ16選をご紹介しています。