学生、生活苦しい 親の収入減・バイトもできず 富山大生支援求め署名

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自宅でオンライン授業を受ける学生。通信費なども負担になっている=富山市内

 新型コロナウイルスの感染拡大で、県内の学生がアルバイト先を失ったり家庭の収入が減少したりして生活苦に陥っている。富山大では、学生が支援を求めて署名活動を始め、「安心して学べる環境をつくって」と訴える。全国でも100校以上で経済的支援や学費減額を求める学生らの活動が広まっている。 (藤田愛夏)    「実家の収入が減り、バイトもいつ始められるか分からない。この先、学費を払っていけるのだろうか」。富山大理学部1年の羽田鼓さん(19)は、地元の青森県八戸市を離れ、4月上旬から富山市で1人暮らしを始めた。仕送りで大学生活を送るが、感染拡大を受け、父が営む飲食店は4月上旬から営業中止となった。一方、富山大の授業開始は4月下旬に延期され、授業はインターネットを利用した遠隔授業に変更された。パソコンやインターネット回線の費用も必要になった。

 今は生活費を工面するためにアルバイトをしたくても面接が受けられない状態だ。不慣れな土地での生活に加え、教員や他の学生との交流の機会もなく、「まだ友達と呼べる人もいない。不安な中、1人で過ごすのもつらい」と漏らす。

 富山大は困窮する学生を救済しようと、授業料減免を申請している学生らに5万円を支給する支援策を打ち出した。しかし、支給対象が限られており、羽田さんは「新型コロナで経済的に不安定になったのはどの学生も同じ」と語る。その思いに共感した学生5人と一緒に、支給対象を全学生に拡大するよう富山大に求めて、1日からオンライン署名サイトで署名活動を始めた。

 メンバーの4年生の女子学生は、年金で生活する両親の仕送りとアルバイトで稼いだ月約5万円を生活費に充ててきた。「困っていても、どうしたらいいか分からない学生もいることを大学に知ってほしい」と訴える。

 署名は25日までに100人分を集めて齋藤滋学長に提出することを目指す。羽田さんは「国や大学を動かすためには一つ一つの活動が重要。多くの人に賛同してもらい、声を届けたい」と話す。

■全国で支給の動き

 学生の経済状況の悪化を受け、富山大など全国の大学で支援に乗り出す動きが出始めている。

 富山大は4月下旬に支援策を表明。授業料の減免を申請している学生と留学生計約1300人に5万円を支給するとし、12日に振り込み口座が分かっている約1230人に支給した。

 富山大には約9300人の学生・留学生が在籍。大学には学生から新型コロナの影響で家計状況が悪化し、新たに授業料の減免や奨学金の申請をしたいという相談も寄せられている。大学の担当者は「新たに支援が必要な学生も出てきている。さらなる支援を検討したい」としている。

 このほか、早稲田大は総額5億円の緊急支援を、広島大は困窮する学生に月額3万円の支援金の給付を、それぞれ打ち出している。

 学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」の調査によると、親の収入減などで退学を考えているとした学生は、回答者の5人に1人に上る。こうした事態を受け、政府は困窮する学生に1人当たり10万円、特に困窮する学生に20万円を支給する調整に入っている。