老舗「川口あんぱん」(板柳町)が閉店/売り上げ低迷、コロナが追い打ち/町民「寂しい限り」

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店舗入り口に閉店を伝える看板を掲示している老舗菓子製造の「川口あんぱん」=17日、板柳町板柳土井

 青森県板柳町板柳土井の老舗菓子製造業「川口あんぱん」が4月末で閉店したことが17日、分かった。看板商品「川口のあんぱん」が町内外の人々に愛されてきたが、売り上げ低迷に伴い、長年の歴史に幕を下ろした。

 「川口のあんぱん」は県内の観光施設や空港などの土産店で取り扱われるなど人気を集めた。しかし、6代目川口健栄社長(77)によると、近年は大型ショッピングモールの台頭による利用客の減少、原材料費高騰などで売り上げは最盛期の7割ほどに落ち込んでいた。さらに昨年の消費税増税、新型コロナウイルスによる消費低迷も追い打ちを掛けた形となった。現在は事後処理について弁護士と協議しているという。

 川口社長によると、店は江戸時代中期の1713(正徳3)年に現店舗付近で創業したと伝わっている。当初は菓子のほか、コメ、生活雑貨も販売していた。あんぱんは1880(明治13)年に製造を開始。カステラ生地を参考にしたという薄皮に白あんを包んだ一品は独特な食感が好評で、町内外から買い求める客でにぎわった。

 川口社長は「これまで何とか続けてきたが残念の一言」と唇をかむ。妻の啓子さん(72)は「お客さんの温かい言葉に支えられ頑張ってこられた。ありがたい」と感謝を表した。

 同町では3月に竹浪酒造店(江戸時代初期創業)が破産申請したのに続く老舗の閉店に、町民のショックは大きい。近くに住む林彰さん(57)は「寂しい限り。川口のあんぱんは町外、県外に行くときに必ずお土産として買っていたのに」と残念そうに話した。