ボンズ父子は「30-30」を各5度達成 パワー&スピードの選手たち

メジャーリーグでは打率3割、30本塁打、30盗塁の「トリプルスリー」よりも30本塁打&30盗塁の「30-30」について語られることのほうが多い。1922年のケン・ウィリアムスから始まり、昨年のロナルド・アクーニャJr.とクリスチャン・イェリッチまで、「30-30」は過去に64度達成されており、そのうち「40-40」は4度。「50-50」を達成した選手はいない。ここでは本塁打と盗塁の2部門に着目し、パワーとスピードを兼ね備えた選手を振り返る。

ミスター「30-30」と言うべき存在なのが、バリー・ボンズの父親として知られるボビー・ボンズだ。1969年に32本塁打&45盗塁で自身初の「30-30」を達成すると、1973年、1975年、1977年、1978年にも「30-30」を達成。メジャー最初の10度のうち、実に5度がボビー・ボンズによるものだった。1973年には39本塁打&43盗塁で「40-40」達成まであと一歩に迫り、キャリア通算では332本塁打&461盗塁を記録した。

バリー・ボンズも父ボビーと同じく5度の「30-30」を達成しており、通算762本塁打&514盗塁をマーク。通算300本塁打&300盗塁の「300-300」を達成した選手はボンズ父子を含めて過去に8人いるが、両部門で400を超えているのはバリー・ボンズただ1人である。バリー・ボンズは1996年に史上2人目となる「40-40」を達成(初の達成者は1988年のホゼ・カンセコ)。1990年には史上2人しかいない「30-50」も達成している(もう1人は1987年のエリック・デービス)。

「30-30」を複数回達成した選手は少なくなく、ボンズ父子の各5度を筆頭に、アルフォンゾ・ソリアーノが4度、ハワード・ジョンソンが3度、ウィリー・メイズ、ロン・ガント、サミー・ソーサ、ジェフ・バグウェル、ラウル・モンデシー、ブラディミール・ゲレーロ、ボビー・アブレイユ、イアン・キンズラー、ライアン・ブラウンが各2度を記録。ちなみに、マイク・トラウトは2012年に30本塁打&49盗塁で史上初のルーキーでの達成者となったが、まだ2度目を達成することはできていない。

デービスとバリー・ボンズが「30-50」を達成している一方、「50-30」を達成した選手は過去に1人もいない。シーズン50本塁打以上での最多盗塁は2007年のアレックス・ロドリゲス(54本塁打)と1955年のメイズ(51本塁打)による24盗塁であり、シーズン30盗塁以上での最多本塁打は1997年のラリー・ウォーカー(33盗塁)による49本塁打となっている。ウォーカーは本塁打をあと1本打っていれば、史上唯一の「50-30」達成者となるところだった。

また、本塁打王と盗塁王を同時に獲得した選手は、メジャーリーグの長い歴史のなかでわずか3人だけ。1903年のジミー・シェッカード(9本塁打&67盗塁)と1909年のタイ・カッブ(9本塁打&76盗塁)はベーブ・ルース登場によって本塁打が増加する以前の選手であり、1932年のチャック・クライン(38本塁打&20盗塁)が最後の達成者となっている。昨年37盗塁で盗塁王となったアクーニャJr.はリーグ5位タイの41本塁打を放っており、クライン以来の快挙達成を期待したいところだ。

ブラウンとトラウトが「30-30」を達成した2012年以降、5年間にわたって「30-30」の達成者はいなかったが、2018年にホゼ・ラミレスとムーキー・ベッツ、昨年はアクーニャJr.とイェリッチが達成。フランシスコ・リンドーア、トレバー・ストーリーらも含め、パワーとスピードを兼ね備えた選手は再び増加傾向にあり、史上5人目の「40-40」や史上初の「50-50」が達成される日も、そう遠くはないのかもしれない。

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