NASCAR:約2カ月ぶりにシリーズ再開。無観客&ドライバーもマスク着用の厳戒態勢初戦はフォードに軍配

 新型コロナウイルス(COVID-19)の影響でシリーズ中断状態にあった2020年のNASCARカップシリーズは5月17日、サウスカロライナ州ダーリントンにあるダーリントン・レースウェイでシリーズ再開を迎え、その初戦“リアル・ヒーローズ400”ではケビン・ハービック(フォード・マスタング)が優勝。カップシリーズ自身通算50勝目を飾った。

 カップシリーズを含むNASCAR全シリーズは新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響を鑑みて、3月上旬からレース開催を自粛、事実上のシリーズ中断状態にあった。そんなシリーズは約2カ月のシリーズ中断を経て、このダーリントンでシリーズ再開を迎えた。

 ただしレースは観客を受け入れない無観客試合として行われたほか、プラクティスや予選を行わないワンデーイベントとして実施され、チームが登録できるクルーの人数はドライバーも含めて最大16名までに制限されるなど感染防止策を徹底。

各ドライバーはマシンに乗り込む直前までマスクを着用していた

 またコースマーシャルを含む全スタッフにマスク着用が義務付けられ、ドライバーもマシンに乗り込む直前までマスクを着用、さらに優勝ドライバーもマスク着用のまま記念撮影に臨んだ。

 決勝のスタート順はチームオーナーポイント順にくじを引く形式で決められ、293周のレースはブラッド・ケゼロウスキー(フォード・マスタング)を先頭にスタートすることに。

“リアル・ヒーローズ400”は無観客での開催。普段であれば超満員と言えるスタンドには各ドライバーのスポッターなどの姿が見える程度

 NASCARでは恒例の決勝スタート前エンジン始動セレモニーについては、今大会が新型コロナウイルスと最前線で戦う医療従事者への感謝を込め“真のヒーローたちへ(リアル・ヒーローズ)”と位置づけられていることもあり、医療従事者たちがビデオメッセージでエンジン始動を呼びかけた。

 迎えた3ステージ制の決勝レース、ステージ1はジミー・ジョンソン(シボレー・カマロZL1)がラップリーダーを務める形で進んだものの、最終ラップで接触がありクラッシュ。これが原因でイエローコーションが出され、それまで2番手だったウイリアム・バイロン(シボレー・カマロZL1)が繰り上がる形でトップチェッカーを受けた。

 続くステージ2はケゼロウスキーが制覇。最終ステージ3は193周目にアレックス・ボウマン(シボレー・カマロZL1)を先頭にスタートを迎える。

 すると213周目、後方を走っていたクリス・ブッシャー(フォード・マスタング)がクラッシュしたため、レースはイエローコーションに。ここで行われたピット作業で先行したハービックがトップに浮上して、218周目にレースリスタートとなった。

 ハービックは一時2秒以上のリードを築く圧倒ぶりをみせたが、レース残り41周で他車のクラッシュで再度イエローコーション。260周目にハービック、ボウマン、チェイス・エリオット(シボレー・カマロZL1)というトップ3で再スタートを迎えると、トップの2台はサイド・バイ・サイドのトップ争いを繰り広げる。

 しかし、ここはアウト側をキープしていたハービックがポジションを守り切ると、その後はチェッカーまでトップを譲らず。最終的に2.154秒リードでシリーズ再開初戦を制した。

優勝し、ドーナツスピンで喜びを表現したケビン・ハービック(フォード・マスタング)
優勝したケビン・ハービック(フォード・マスタング)はマスク着用で優勝記念撮影に応じた

 チェッカー後、ハービックは「ふたたびレースを戦う環境を整えてくれたNASCARをはじめ、参戦しているすべてのチーム、関係する企業の全員に心から感謝している」と語った。

「今日、この場にいる全チームのスタッフはものすごく興奮していたと思う。私も今朝は6時に目が覚めてしまって、出発まで時間を潰すのに苦労したよ。もう一度マシンのコクピットに戻ることができて最高の気分だし、今日は自分の仕事を完璧にこなすことができた」

 2位はボウマン、3位はカート・ブッシュ(シボレー・カマロZL1)が獲得。トヨタ勢はデニー・ハムリン(トヨタ・カムリ)の5位が最上位だった。

 2020年のNASCARカップシリーズ、次戦は5月20日に同じくダーリントンを舞台に争われる“トヨタ500”だ。

 またNASCARはすでに発表済みだった5月27日以降のレース開催スケジュールについても発表しており、5月30~6月21日までの間にカップ、エクスフィニティ、ガンダーRV&アウトドアズ・トラックの全3シリーズ合計で全13レースを開催する。

 なお、いずれのレースもファンは会場に入れず、無観客レースとして行われる。

NASCARカップシリーズ “リアル・ヒーローズ400”

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