WTCR:困難な情勢ながら軌道修正。新型『クプラ・レオン・コンペティションTCR』をシリーズ供給へ

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 2020年から新たなTCR規定ツーリングカー『CUPRA Leon Competición TCR(クプラ・レオン・コンペティションTCR)』を供給する予定のクプラ・レーシングは、この新型モデルが「2020年のWTCR(世界ツーリングカー・カップ)やTCRヨーロッパ・シリーズに姿を見せる」ことを公式に認めた。

 同組織のディレクターを務めるハイメ・プイグは、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響が世界全体に蔓延したこの4月にも、クプラ・レーシングとして「COVID-19の世界的流行を受け、我々は影響の甚大さを考慮し、2020年のWTCRに関与しないことを決定した。いかなるチームに対してもファクトリーサポートの活動は行わない」と明かしていた。

 基本的にこのスタンスは「変化していない」としたプイグだが、パンデミックの余波から出口戦略を模索し始め、日々の生活を取り戻すべく舵を切った欧州を中心に複数のカスタマーがシリーズ参戦に向け動き始めたことを示唆した。

「WTCRの場合でも、その他の地域や国内チャンピオンシップの場合でも、最終的な改訂版スケジュールが分かるまで待たないと確たることは言えないが、我々の新型クプラ・レオン・コンペティションTCRのうち何台かがトラックに現れることになるだろう」と語ったプイグ。

「現段階で、クプラ・レーシングのカスタマーとしてWTCR、TCRヨーロッパ、TCRスカンジナビア、TCRイタリア、TCRドイツ、NLSニュルブルクリンク耐久シリーズ(旧VLN)、24時間シリーズなど主要なシリーズに参戦する複数のチームが新型モデル導入を予定している」

 このスペインを本拠地とするセアトの高性能車両部門でもあるクプラは、2019年シーズンのWTCRでPWR RacingとComtoyou Racingの2チームに対し、公式なパートナーシップを結んでシリーズに参戦してきた。

 しかし、Comtoyou Racingはクプラ・レーシングとの提携を解消してアウディRS3 LMSに1本化しトム・コロネルにマシンを託すことをアナウンス済みで、PWR Racingに関してはまだ国際シリーズでの活動計画を確定しておらず、クプラとしてどのチームがWTCRでのラウンチと前戦部隊を担うのか、その詳細を発表していない。

この4月には「いかなるチームに対してもファクトリーサポートの活動は行わない」と明かしていたハイメ・プイグ代表

 しかし、2020年の投入に向け開発作業と製造準備を進めてきたクプラは、2019年12月のオンライン先行予約オーダー受付開始以来、新規カスタマーを含めて30台以上の受注を獲得しているという。

「オンラインの事前予約プロセスが12月に開始されて以来、我々の競技用ツーリングカーとしては初めて30件を超える先行受注リクエストを受けた」と続けるプイグ。

「もちろん、我々の国スペインもCOVID-19の影響と被害を強く被ったし、誰にとっても奇妙な時代であることは間違いない。そのため我々クプラ・レーシングとしても、これまでとは非常に異なる方法で作業を進める必要があった」

「我々は通常マシンを販売して終わりではなく、サーキットで直接カスタマーチームの面々と顔を合わせ技術的サポートを提供してきたが、今では物理的接触が禁止されたという理由でその方法を採ることができない」

「しかし、それにも関わらず我々はカスタマーにサービスを提供し続けており、電子メールや電話を介していつでもカスタマーとの通信を確保することが可能だ」

 現時点でレースイベントを再開したチャンピオンシップはまだないものの、その体制ゆえ、クプラは必要に応じてカスタマーチームをリモートで支援することが可能だとプイグは言う。

「我々クプラ・レーシングとしては、今後数週間以内にすぐさまレースを再開できるシナリオから、本格的なコンペティションを2021年までさらに待たなくてはならない場合まで、あらゆるタイプの状況に直面しても大丈夫な準備ができている」

「もし再開する場合は、その先では立ち止まらない確信と決意が必要だ。さもなければ、1歩進んで2歩下がることになりかねないからね」

クプラの公式パートナーであるPWR Racingは、地元STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権では新型モデルの投入を予定している