湘南の海、まるで南国のビーチ エメラルドグリーンの正体は「白潮」 相模湾広範囲での観測は初

17日に葉山町の真名瀬海岸から撮影された相模湾(スポーツウェブマガジン「Pressports.com」提供)

 相模湾の沿岸から沖合にかけた一帯で、プランクトンの大量繁殖による「白潮(しろしお)」が発生している。海面が乳白色に見える珍しい現象で、SNSで「湘南が南国のよう」と話題だ。相模湾の広範囲で観測されるのは初めてとみられる。

 横浜国立大臨海環境センター(神奈川県真鶴町)が15日、真鶴沖2~3キロを調査して確認した。下出信次教授(生物海洋学)によると、円石藻(えんせきそう)とみられる植物プランクトンが大量に採取された。円石藻は細胞の表面が炭酸カルシウムに覆われて葉緑体を持ち、海面が白く濁ったり、エメラルドグリーンに見えたりするという。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測衛星も17日、一帯が渦を巻くように白色化している相模湾を捉えた。白潮は1995年に東京湾で発生し、相模湾の一部でも確認されたが、下出教授は「これほど広範囲に観測されたのは初めてではないか」と話している。

 国立環境研究所の河地正伸室長(藻類学)によると、円石藻は海水温が高い南洋から黒潮に乗って日本沿岸に流れ込む場合がある。大量繁殖は、赤潮を発生させる沿岸性の植物プランクトンや夜光虫が少ない環境が条件で、河地室長は「日射量が十分で外洋に近い穏やかな状態が続いたためと考えられる」と指摘する。

 白潮は2007年に博多湾の広範囲で発生し、視界不良で素潜り漁に影響したり、一部で一時的に魚が寄りつかなくなったりしが、有害ではないという。湘南海上保安署によると、漁業被害の報告はない。

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