唐津くんちに輪島塗の技 職人が佐賀で住み込み、曳山修復着々

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 輪島塗の職人が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された佐賀県唐津市の秋祭り「唐津くんち」の曳山の修復作業を進めている。輪島産の珪藻土「輪島地の粉」などを用いて下地漆を塗る作業が大詰めを迎えている。伝統の技術を駆使した曳山は9月に優美な姿に生まれ変わり、11月の唐津くんちを華やかに盛り上げる。

 曳山の修復を進めているのは、輪島市杉平町の田谷(たや)漆器店。昨年11月から現場責任者の上巻美津男さん(56)ら職人2人が現地に住み込み、1876(明治9)年に制作された水主(かこ)町の13番曳山「鯱(しゃち)」の修理を行っている。

 作業は古く傷んだ塗りの膜を剥がす「かき落とし」から始まり、亀裂やへこみの修理を経て、2月から輪島地の粉や米のり、漆を混ぜ合わせて下地漆を塗る作業を進めている。6月からは中塗り、上塗り、金箔(きんぱく)の装飾を施す作業を順次進める予定だ。

 作業を行う現地の曳山の修理庫「曳山の蔵」は新型コロナウイルス感染防止のため閉鎖され、耐久性に優れる輪島塗独特の下地漆を塗る作業で一番の見どころを公開できず、地元で惜しむ声も聞かれたという。

 田谷漆器店10代目の田谷昂大さん(28)は「本当は下地漆を塗る作業を見てほしかったが、致し方ない。きれいにお化粧直しされた自慢の鯱で11月の唐津くんちを楽しんでもらうため、全力で修理を進めていきたい」と話した。