<故・大林宣彦監督集>『ねらわれた学園』かっこよくて、ポップなアイドルサスペンス

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 今年の4月に亡くなった大林宣彦監督が、1981年に眉村卓の原作を薬師丸ひろ子主演で映画化した映画。私が生まれた次の年に上映された映画なので、初めて観たのは小学生の時でした。不思議な超能力を持ったヒロインの薬師丸ひろ子は魅力的で、ただの青春映画ではないような、ちょっとだけ不気味で怖い演出が当時、映画館で観た大林監督の『漂流教室』や『異人たちとの夏』同様、子供の私にとってちょうどいい刺激として父親の後ろの隠れながら観たのは未だに覚えています。

 大人になってからこの映画を観ると、当時とはまったく違う感覚になるのが不思議です。今までの自分の中の映画的感覚を覆すハチャメチャさ。個性的な映像も、キャラクターの面白さも群を抜いていて、途中から完全に学園モノの<フツウ>を超越していきます。編集もすごく凝っていて、今では当たり前のように観ることができる特撮や、合成やエフェクトも、大林監督の卓越した個性を感じられます。特に音楽の使い方はおしゃれで、オープニングにユーミンこと松任谷由実の「守ってあげたい」が流れると、なんだか胸がときめきました。

 確かに今見れば、カオスな作品かもしれませんが、正直同じような展開で胸キュン売りに食傷気味となってしまっている最近の日本のキラキラ映画を考えれば、「学園モノ」という枠をゆうに超えた大林監督の自由な遊び心を恋しく思ってしまうのです。(森田真帆)★★★★

監督:大林宣彦

出演:薬師丸ひろ子、高柳良一

『ねらわれた学園 角川映画 THE BEST』

Blu-ray 2000円+税

発売元・販売元 株式会社KADOKAWA