【新型コロナに負けない!】セニョール小林&マニィ大橋が対談 おうちで映画を楽しもう!②

 テレビでおなじみのセニョール小林さん(tysテレビ山口の番組ディレクターで「ちぐスマ!」等を担当。各種番組出演も多数)と、マニィ大橋さん(フリーの映画コメンテーター。yab山口朝日放送「どき生てれび」で映画コーナーを担当)は、実は湯田小、湯田中の同級生。小学校時代からの映画仲間で、生粋の映画マニアとして知られています。

 新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間、対策に関する新しい情報、影響を受けている地元企業の経済活動や支援の動き、「おうち時間」の楽しい過ごし方等々、読者の皆様が前向きな気持ちになれる情報をお届けする「新型コロナに負けない!」。5月6日付では、そんなお二人に「今見たい映画」について対談してもらいました(その記事はこちら)。今回は、その続きをお届けします。

セニョール小林さん
マニィ大橋さん

泣ける!「バジュランギおじさんと、小さな迷子」

 大橋 じゃあ、次の作品行こうか。

 小林 インド映画の「バジュランギおじさんと、小さな迷子」(2015年/インド)だね。

 大橋 僕も大好き。インド公開は2015年だけど、日本では2019年に公開された。僕的には昨年公開の外国映画ベスト3のうちの1本に入る。とにかく泣けるんだよ、これ。

 小林 この映画は、映画ファンだけでなく、一般の皆さんにも面白さが知れ渡ってヒットしたからね。

 大橋 僕が「どき生てれび」で共演している大和良子さんは9回劇場で観て、主演のサルマン・カーンの最新作を観るため、インドのムンバイまで旅行されたからね。何度観ても泣けるし、生きる勇気を貰えると。「人生を変えてくれた映画」って言われていた。

 小林 そりゃすごい。インド映画は、荒井注さんのようなおじさんが歌い踊りウインクまでする「ムトゥ 踊るマハラジャ」(1995年)から爆笑必至のSFコメディー「ロボット」(2010年)、難関大学を舞台にした笑って泣ける青春映画「きっと、うまくいく」(2009年)、壮大な歴史スペクタクル・アクション大作「バーフバリ 伝説誕生」(2015年)「バーフバリ 王の凱旋」(2017年)など、実に多彩。共通する特徴があるとすれば、2時間3時間は当たり前の長さと、とにかく歌って踊る場面がたっぷりある。

 大橋 そうだね。インドは各地域で言語も違うし、それぞれの地域で映画製作も盛んだから、確かに多彩なんだけど、実はインド映画にもルールみたいなものがある。インドの古典的な芸術表現、ナヴァ・ラサって言うけど、必ず「恋愛」「笑い」「怒り」「悲しみ」「嫌悪」「恐怖」「勇敢」「驚き」「平和」という九つの表現が入っている、だからとても感情的でパワーがあるんだ。

 小林 政治的・宗教的に激しく対立するインドとパキスタンを舞台に、生真面目で正直者の青年が、パキスタンから来た迷子の少女を母親のもとに送り届けようと、国家の壁を越えて奮闘する姿を描いている。

 大橋 主人公のバジュランギがとにかく純粋でね。パスポートもビザもないのに、どうやって国境を越えるんだろう、てドキドキハラハラする。インド、パキスタンの風景も実際にロケしていて、実に美しい。

 小林 あと、とにかく迷子になった6歳の少女が愛くるしいよね。この無垢な瞳を持った少女を見ているだけで思わず笑みがこぼれる。クライマックスはちょっと無理矢理だけど、君が言うように、そんなことを感じさせないパワーがあるよね。

 大橋 あれだけ無垢な瞳は「時をかける少女」(1983年)の原田知世ちゃん以来だ。

 小林 おいおい(笑)

 大橋 実は、カビール・カーン監督は、お父さんがイスラム教徒、お母さんがヒンドゥー教徒なんだよね。国家や宗教を越えた愛、というこの映画のテーマは、異なる宗教を信じている両親同士の元で育った自分自身の想いを投影しているとも言える。

 小林 だからこそ、愛があれば、人は国の違い、人種の違い、言葉の違い、宗教の違いを乗り越えることができる、というメッセージが熱いほど伝わってくるわけだ。国と国との対立を描いていると言っても、全然堅苦しくないし、インド映画らしい歌と踊りもたっぷりある娯楽大作だから、たくさんの人に観てほしい!

 大橋 上映時間2時間43分と長いけど、観始めると絶対長さは感じないので、是非!

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