観光支援事業に応募殺到 長崎県、費用増額を検討

 新型コロナウイルスの感染拡大で経営に打撃を受けた観光業者らを支援する長崎県の公募提案型委託事業「観光地受入態勢ステップアップ事業」に応募が殺到している。宿泊業者などを対象に7日から受け付けを始め、既に約160件。予算の4億8700万円を上回るペースで、県観光振興課は事業費の増額ができないか検討を急いでいる。
 事業では、県内の宿泊業者や交通業者などに観光地の魅力向上策を提案してもらい審査。採択した事業を県が応募業者に委託する形で人件費と活動費を1事業者当たり最大1千万円助成する。従業員の雇用を維持しながら収束後を見据えて受け入れ態勢を強化してもらおうと、1日の県議会臨時会で可決された一般会計補正予算に盛り込まれた。
 対象は▽おもてなし力向上▽誘客・経営効率化▽安全安心対策▽その他、県が認めたもの-の4事業で、委託料はそれぞれ最大250万円。業者からはインターネットで魅力を発信するための研修会や、宿泊業者と飲食店、土産物店が連携した周遊マップの作成などの企画提案が出ている。
 県は「スピード感が大事」として、補正予算が可決された1日に県内各市町の担当課や観光協会に案内を送り、7日にテレビ会議による説明会も開いた。応募書類も可能な限り簡略化した結果、「想定以上の応募」(同課)があった。受け付け開始から1週間で80件に上ったという。
 現在、内容の審査を進めており、採択、支援を急ぐ。雲仙市の50代旅館経営者は「講師を招いた従業員研修や、部屋食への移行を見据えた商品開発を考えている。前向きな企業にとっては、ピンチをチャンスに変える非常にありがたい事業」と話している。

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