「その風景、誠に妙なり」。大村藩が江戸期にまとめた「大村郷村記」には、北緯33度線展望台(西海市崎戸町)付近からの眺めをこう記している。1938年には、旧日本軍が潜水艦のスクリュー音などを検知する聴音所を建てた。その構造物が今も残る。
展望台は、旧崎戸町が1989年に整備。カサブランカやバグダッドに通じる北緯33度線が近くを通ることからその名が付いた。本土からは大島大橋など5つの橋を渡る崎戸島の最西端に位置する。
標高約40メートルの高台にある高さ6メートルの展望台からは平戸、五島列島、松島、池島など360度の眺望が開ける。国土交通省の日本風景街道「ながさきサンセットロード」の見どころの一つで、五島灘に沈む夕日も楽しめる。
2015年、崎戸町に工場を置く製塩大手、ダイヤソルトが創立60周年を記念し、フォトフレームを模したモニュメントを設置。写真映えのスポットとしても人気がある。
本郷地区自治会の福岡昭和会長は「住民にとっても、都会へ出た出身者にとっても、変わらぬ景色は、心の財産。風土が人を育てる」と話した。
【動画】西海・北緯33度線展望台 五島灘に沈む夕日
- Published
- 2020/05/19 14:38 (JST)
- Updated
- 2020/10/10 13:26 (JST)
© 株式会社長崎新聞社