「感染2次爆発ない」 DMAT医師がコロナ客船説明

医療支援体制について説明する小早川医師=長崎市香焼町、三菱重工業長崎造船所香焼工場

 クルーズ船コスタ・アトランチカの医療支援に当たる災害派遣医療チーム(DMAT)などの医師4人が19日、船のそばにある現場指揮所で報道陣の取材に応じた。現場の指揮を執る厚生労働省DMAT事務局の小早川義貴医師は「船内はしっかりと管理され、感染の2次爆発などは起こっていない。怖がらずに(乗組員を)応援してほしい」と県民に呼び掛けた。
 4人は小早川氏と長崎医療センターの中道親昭・高度救命救急センター長(DMAT隊員)、上五島病院の増田真吾医師(同)、長崎大学病院の田代将人・感染制御教育センター副センター長。
 2月に集団感染が起きたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスでも支援に当たった小早川氏は、4月22日から現地入り。24日に船内を確認し、発熱者の個室隔離や乗組員の検温など管理がきちんとされていて「当初から船内に混乱はなく、落ち着いた状況だった」と説明した。
 4月27日夜から28日の未明にかけ、立て続けに3人が救急搬送された時には「このペースで続いたら…」と不安も。ただ搬送者は7人にとどまっており、5月以降はミーティングで乗船する際、防護服を着用せずマスクだけで入ることができるようになった。これまで診療したのは、入院した7人も含め20人程度という。
 小早川氏は「感染症に強い長崎大が当初から十分な人的、物的支援を投入していただいているので心強い」と感謝。船の停留が長期化していることで不安を抱える乗組員もいるとして「出港のめど、大きな流れを決めてあげることが大事」と強調した。
 一方、感染症が専門の田代氏は、コスタ・アトランチカには乗客がおらず規模も違うとして「ダイヤモンド・プリンセスと同じ土俵で比べるのは難しい」と指摘。中道氏は人命を守るため、出港する際にリスクがある人は下船させることも必要だとの認識を示した。

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