依存症者の自立支える 諫早に初の居宅支援拠点 ギャンブル、酒、薬物… 「今からでも変われる」

 ギャンブルなどの依存症に苦しむ人たちの自立を支援するNPO法人「アディクション・ネットワーク」(永田孝一代表理事)は今春、長崎県諫早市多良見町化屋に居宅支援事業を営む「アディクション喜々津」を開設した。永田代表理事(59)もギャンブル依存に悩んだ過去を持ち、「『変わりたい』という希望を持つ人の役に立ちたい」と話す。
 県と諫早市によると、ギャンブル依存症回復に特化した居宅支援施設は長崎市に1カ所あるが、アルコールや薬物も含む同種施設は諫早市内で初めて。
 同ネットワークは昨年11月発足。アディクション喜々津はJR喜々津駅に近い元ビジネスホテルを借り上げ、4月から運営。一人1室の居室があり、最大8人が利用できる。朝と夜の食事をともにし、自助グループのミーティングなどに参加しながら心身の回復と生活の自立を目指す。
 事業のもう一つの柱は諫早、大村両市で開いている自助グループ「GA(ギャンブラーズ・アノニマス)」の運営、企画。就労支援や家族を含めた相談にも取り組んでいる。
 「負けても勝って返せばいい」-。永田さんは就職後、競艇やパチンコにのめり込んだ。借金、病気、失職-。行き詰まりを感じてようやく過ちに気付いた。そんな時、家族の勧めで参加したのがGA。自身の病気と内面を見つめ直すことで、ギャンブルから遠ざかり、生活を立て直した。
 「家族からも見放され、行き場をなくした依存症の人に住まいと食を地元で支える場所をつくりたい」。そう思い、仲間と立ち上げたのが同ネットワーク。始まったばかりだが、願いがある。「ここでともに活動する人を育てていきたい」
 GA諫早は今年、発足20年。毎週火、土曜夜、市社会福祉会館(新道町)内でミーティングを開き、参加者が過去の体験や今の心境を明かす。「今からでも変わることができる」。永田代表理事は自身をありのままにさらけだし、同じ悩みを抱える人に寄り添う道を歩んでいる。
 問い合わせや活動への賛助希望は同ネットワーク(電0957.51.7594)。

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