食中毒に注意! テークアウト増で「早めに食べて」 県が呼び掛け

昨年県内で発生した食中毒の月別件数

 新型コロナウイルスの影響で、長崎県内の多くの飲食店が始めたテークアウト。認知度が高まり利用者が増える中、気温が20度を超える日が続き、食中毒への懸念が出てきた。県生活衛生課は「調理してから持ち帰って食べるまでに時間がかかるため、より注意が必要」とし、飲食店に対して衛生管理の徹底や、客に早めに食べるよう案内することなどを呼び掛けている。
 同課によると、県内で昨年発生した食中毒は21件。月別では6月が6件と最も多く、7月と9月には食中毒注意報が発令された。
 気温や湿度がさらに高くなる時期を前に、同課は出前やテークアウトを始めた飲食店に▽しっかり加熱する▽容器に詰める前に冷ます▽客にも温度管理の注意を促す-などを求めるチラシを作成。ラジオでも広報していく。
 飲食店側は対応を模索している。長崎市内のあるバーは、当初、弁当を扱っていたが「どの程度まで冷やして詰めたらいいか専門知識がなかったから」と、店頭販売をサンドイッチだけに変更。見本を並べ、客には冷蔵庫で冷やしたものを渡すことにした。同市浜町のカフェ「テルツォ」は現在、店舗内での飲食を休止し、店頭で弁当やピザを販売中。食中毒対策に「作り置きをせず注文制にすることも考えている」という。
 一方、衛生指導を担当する市保健所は、新型コロナ感染防止対策で店に出向く監視指導を控えているほか、講習会なども開催できず、「個別の相談があれば助言する」という形を取らざるを得ない状況という。「テークアウトで幸い食中毒は今のところ出ていない。極力生ものを避け、店の調理能力に応じた数を提供するよう心掛けてほしい」としている。

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