県内景気「厳しさ増す」 日銀長崎支店 3カ月連続判断引き下げ

 日銀長崎支店が19日発表した4~5月の県内金融経済概況は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、景気の総括判断を3カ月連続で引き下げ「厳しさを増している」とした。観光の低迷と個人消費の落ち込みが響き、雇用・所得にも弱い動きがみられ始めている。
 総括判断は、リーマン・ショック後の2008年12月から09年4月にかけて「悪化」という表現を使ったが、今回は避けた。
 この理由について下田尚人支店長は「減速の仕方はリーマン・ショック時を超えているが、緊急事態宣言や休業要請が解除され、先行きは回復するとの期待が残されている」と指摘。その一方、感染拡大リスクは残っていることから「市民の警戒感や消費を控える動きを楽観せず注視したい」と述べた。
 観光は「低迷している」と4カ月連続で判断を引き下げた。直近3月の県内主要ホテル・旅館の宿泊者数は前年比6割減、県内主要観光施設の入場者数は7割減。4月以降は休業が相次いでいるため、さらに低下を見込む。
 個人消費は「大幅に減少している」で3カ月連続ダウン。“巣ごもり消費”向け食材やDIY商品、テレワーク用機器などが伸びたものの、車や家電など耐久財が落ち込んだ。4月の乗用車新車登録台数は前年比3割減とマイナス幅が拡大した。
 雇用・所得は「弱い動きがみられ始めている」と2カ月連続の引き下げ。有効求人倍率は1倍以上を維持しているが、新規求人が減っている。県内で倒産や雇い止めが少ないことについて、下田支店長は「資金繰りが厳しい企業は多いが、行政や金融機関の支援策がある程度下支えになっているようだ」との見方を示した。

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